勇次郎くんの許嫁『染谷勇次郎』

さん ページ5

私が何をしたというのだ



お見合い中だってまともに話しかけてくれなかったし

で、当の私はどうしたかというと





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｢あ、はい｣



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……はい、は違うでしょう。はい、は


やってしまった……何と言うのでしょうこういうの、後悔……？そうだ、後悔です後悔


まあお見合いの段階でよかった。もう少し仲良くなって結婚間近で断られる方が、よっぽど嫌なのです




2度も相手に断られたバツ2のような称号がつくのだ


若いうちにこんなものでどうするのでしょう…









｢籍、2年経ったらもういれるけど、いい？｣


｢え？！｣



彼は何を驚いているのだ、と言ったような顔をしていた


いや、当然のように言われても……


籍？籍……いれるのですか？？






｢結婚するんだから籍くらい入れて当然でしょ……？なに、嫌なの｣


｢と、とんでもない！いや、そうじゃなくて…勇次郎さん……さっき……結婚は興味無いとか仰ってませんでしたっけ……？｣


｢言ったけど｣








………？？？


では何故言ったのだろうか


籍はいれるけど、夫婦としての期待はするなと、そういうこと？あ、そういうことなのですか




｢……承知しました……では、今後末永くよろしくお願いします……｣


｢……君も、言われて僕との縁談来たんでしょ？｣




すっかり喋ってくれるようになった彼は随分と毒々しいような気がしてきた


私、この人と結婚なんてやっていけるかしら……





｢父から、とても、とても愛想の良い方。だと……｣


｢……なんでとてもを強調すんの｣





だって想像と違ったんですもの……

そう言おうとした口は塞いだ


ただでさえ険悪な空気をこれ以上汚していまいたくない

公害が起こってしまうわ









｢じゃあ、そういうことで。それまで別に自由にしてくれていいから｣



……ここままだと、勇次郎さんと紙上だけの夫婦になってしまうような気がするの


私は、幸せな結婚生活がしたい。でも、1回ならまだしも2回も破談だなんて箔が着いてしまったらそれこそ次の貰い手がどうなるか分からない……

お父様も、お母様も、お兄様もお姉様も……






……




それは、嫌なのです






｢勇次郎さん｣


｢な、なに｣





再び夢の中へ戻ろうとしていた彼が覚醒する

じ、と彼の顔を見つめて私は決意を胸に固めた


とことんついていない己の人生でも、こうなってしまっては少しの希望にかけるしかない









｢……好きにしろ、と仰いましたね……？｣

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