にじゅう ページ22
「ちょっと……なに人の家勝手に入ってるの」
「お許しくださいませ。勇次郎さんの寝支度を整えたら早急に出ていきますので」
「いやそんなことしなくていいから、早く帰ってよ」
「なんだか勇次郎さんは危なっかしいのです。このまま肺炎でもこじらせそうで帰れるものも帰れません」
「……何言ってんの」
私も何言ってるのかよく分からなくなった。だが、このまま帰るのは本当に嫌なのだ
ずかずかと廊下を歩き、立ち止まる
……部屋が分からない
「勇次郎さん……お部屋はどちらですか……?」
「前にも1度来たくせになに迷ってんの?」
自宅とあまり大差ないが構造が全く違う故全然分からない
前回だってあの部屋以外どこも紹介されていないのだ
「ていうか帰ってよ、何時だと思ってるわけ?」
「お部屋に行くまで帰りません」
「……はぁ…………」
……行ったら本当に帰ってよ。と勇次郎さんは先を歩き出す
足袋を履いた勇次郎さんの足と靴下を履いた私の微かな布ズレの音が響くだけで、本当にこの屋敷には誰もいないのだと実感する
家政婦さんも使用人も誰もおらず、生活感の見えない廊下はまるで勇次郎さん一人で住んでいるように思えた
「……?」
暫く歩いたが彼は部屋などには入らず離れの方へ足を運んでいた
その離れは二階建てなのだろうか。2階へあがり襖を開けると10畳以上の広々とした部屋がそこにはあった
物が少なく、収納スペースが多い。一見してここも生活感があまりなかった
「じゃあもう気は済んだでしょ。帰って」
「……勇次郎さん。そちらの座椅子に」
え……とこの日1番の嫌な顔をされた
しかしそんな気力も持たなかったのかすぐ諦めたように座椅子に腰掛ける
傍らにあったドライヤーをコンセントに刺し、勇次郎さんの髪に当てた
「そんなことだろうと思ったけど……」
「何か言いましたー!?」
「……もう帰ってってば……」
はああぁ……と重いため息をついていた
抵抗するのも特に理由がないのかされるがままなのはちょっと物珍しく感じた
短いので直ぐに乾く
「ヘアオイルか何かありますか?」
「もういいよ帰って……」
「良いのですね。ではもう横になりますか?」
「なるから帰って……」
話を聞かないと言われたってここは下がりたくない
かつて姉が高熱を出したことがある
家中が大わらわで私はそれが怖くて仕方がなかったのを覚えていた
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메이 - めっちゃ面白い…続きが見れるまで毎日見ます (2022年12月8日 21時) (レス) @page24 id: 36c85dd659 (このIDを非表示/違反報告)
コナミ - 更新、死ぬほど楽しみにしてます! (2021年4月18日 4時) (レス) id: 80df884d08 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - まかろんさん» うきゃぁ!嬉しいです!最近お話かけ持ちしすぎて更新が疎かになっていること…まじで申し訳なさすぎて禿げそうです(白目)うおおおお頑張ります!ありがとうございます!! (2020年5月3日 12時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
まかろん - あ〜神だわ好きです(唐突な告白)更新頑張って下さい!応援してます! (2020年5月3日 4時) (レス) id: 349227220e (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - サクラ?さん» サクラ?さんんんん!!!こんな駄作まで見てくださって本当に本当にありがとうございます!!!(´;ω;`)コメントもいっぱいくださって励みになっております!!嬉しすぎて笑みが止まりません!本当にありがとうございます!!!更新頑張ります! (2020年1月25日 11時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソーダ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年1月19日 19時