じゅうく ページ21
無理だ、絶対に無理だ
心がそう叫んでいる
あと少し足を伸ばせば婚約者___勇次郎さんの家に不法侵入してしまうという距離にいた
手には汗とプリントを握りしめて
嫌だと言ったのだ。花壇の水やりがあります図書の手伝いがしたいです日誌を書いていない……
色々な言い訳を提出したがあの担任には通じなかった
因みに全て終わらせてやって来たのであたりは薄暗いのですが。季節ですね
「勇次郎さんに御用があって……勇次郎に……勇次郎さんに……!」
心の中の台本はバッチリだ。後はインターホンを押しそれを口にするだけ……
それだけなのに指は痙攣を止めてはくれなかった
『 ないよ、この先もずっと』
あの言葉が胸の中で反響して、呪いみたいに離れない
そっとインターホンの窪みに指を添える。ふぅ、と息を吐くと意を決して押した
ピーンポーン……
…………
「はい」
「……こ、こんばんは……」
数分後、噂ではこれをカップラーメンを作れる時間。と揶揄するのでしょうか
勇次郎さんが寒そうにして出てきた
それもその筈、髪は濡れており薄手の浴衣を1枚着ていただけであったのだ
お風呂上がりであろうか……
「なんっっっってこと……!」
「なんでそんなにショックうけてるわけ?」
今は5月の中旬だ。まだ春の匂いが消えないこの季節、夜の息がかかるこの時間帯は寒くて体に毒だと言うのに
早くお家に入ってもらわねば……!
「勇次郎さん!これ!プリントです!最近!お休みが続いていらっしゃるので!近所ということで!明智先生に嫌々。いいですか?嫌々、頼まれ承諾しました!どうぞ!」
「何でそんな変な喋り方してんの?」
まあどうも。と私のプリントの束を受け取った時、彼の指が微かに当たる
熱すぎて、咄嗟に掴みかかった
「!?」
「あっっつ!?なんですかこれ!あ!なんでこんなにおでこも熱いのですか!」
「……何だっていいでしょ。離して」
ばっ、と手を振り払われ私から背を向けた
視界の焦点が変わり勇次郎の邸宅を見てみると
人が誰もいないのか、静かだった
「……ご家族はお留守なんですか?」
「そうだけど」
「……勇次郎さん、熱があるでしょう」
小さく彼の肩が動いた
矢張り、それなのに外に出るだなんて余程湯冷めしたいのか
…………え、違いますね。私が来たからですね
後悔と罪悪感が込み上げ無作法にも勇次郎さんの腕をつかみ家の敷地内にお邪魔する
「え」
「失礼します」
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메이 - めっちゃ面白い…続きが見れるまで毎日見ます (2022年12月8日 21時) (レス) @page24 id: 36c85dd659 (このIDを非表示/違反報告)
コナミ - 更新、死ぬほど楽しみにしてます! (2021年4月18日 4時) (レス) id: 80df884d08 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - まかろんさん» うきゃぁ!嬉しいです!最近お話かけ持ちしすぎて更新が疎かになっていること…まじで申し訳なさすぎて禿げそうです(白目)うおおおお頑張ります!ありがとうございます!! (2020年5月3日 12時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
まかろん - あ〜神だわ好きです(唐突な告白)更新頑張って下さい!応援してます! (2020年5月3日 4時) (レス) id: 349227220e (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - サクラ?さん» サクラ?さんんんん!!!こんな駄作まで見てくださって本当に本当にありがとうございます!!!(´;ω;`)コメントもいっぱいくださって励みになっております!!嬉しすぎて笑みが止まりません!本当にありがとうございます!!!更新頑張ります! (2020年1月25日 11時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソーダ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年1月19日 19時