勇次郎くんの許嫁『染谷勇次郎』

じゅういち ページ13

最近、真面目に考えるようになってきたのです




｢いかに上手くいくか、それだけを考えて生きてきましたがこればっかりは……少々手荒になってしまうかもしれないですがどうかお情けを……｣


その問題を前にするとどうしていいのか分からない

そもそも今まで失敗しかした事がないけれど



でも、考えて行動に起こせば、いつか届くって信じているのだから







｢いざ！！｣





ボキッ








……









｢……｣


｢あちゃー…｣







空の容器からはカラメルの匂いが立ち上り、焦げ茶色のカーディガンを着た黄色く甘いもねは、べちゃ……とお皿の上ですっかりくたばってしまっている


スプーンと、私のえも言われぬ顔を添えて








｢どうして折れちゃうんかなぁ……これで30回中０回やね……｣


｢ひよりちゃん。私、旅に出ようと思うの……｣


｢え！どこに！？｣


｢プリン王国とかないかしら……ねえひよりちゃんはご存知ない……？｣


｢そんなもんないよ！！しっかりして！！｣







ブンブンと肩を振られ、ひよりちゃんの力強さにある意味旅に出てしまいそうになってしまう


冗談ですけれど







｢はいどうぞ……受け取ってくださいな……｣


｢毎日ありがとう……にしても…釘刺すようで悪いんやけど全然プリンが言う事聞かへんねー……｣


｢矢張り師匠でも募るべきかしら……｣


｢プリンに師匠なんていないつてば……｣






スプーンですくってその甘いプリンを頬張る


人生1回目、16年目のことだがこればっかりは上手くいかない。それは、プリンのプッチンである




人々は口を揃えて簡単だ。と言いますけれど


何故か私がやるとその柔らかい体は複数の振動を経てお決まりの花のような形を崩しながらお皿へ広がっていく







しかしプリンは大好きなのです



昔からひとつで３個入りのプッチンプリンが五、六個買えてしまうプリンばかり食べていたのだが


プッチンプリンを知ってしまった時の衝撃はまだ忘れることが出来ない







しかしプリンがプッチンできないことをひよりちゃんに知られ、1日2回練習をすることになった


未だ成功したことは無いけれど







30回、と言ったようにこの学校に来て3週間が経っていて



プリンが上手くいかないように、勇次郎さんとも特に会話がなく時は過ぎております

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