じゅうなな ページ19
「本日はレッスンあるのですか?」
「……」
「無視……ですか?」
「……」
「……っ!首を吊るしか!」
「馬鹿なの!?」
持っていたトートバッグの紐を首に回しぐっ、と手に力を込めるAを止めた
勿論死ぬつもりなど毛頭なく、またタチの悪い冗談のつもりなのですが
あんなに無視を決め込んでいたというのにいざと言う時には来てくれるのが優しくて息が漏れた
「冗談ですよ」
「知ってるからそんなの。もう喋んないでくれない?これからマネージャーの車来るから、じゃあね」
最後は嫌味が混じるように言われた
やっぱりレッスンがあるんじゃないですか
そう言うとキッ、と私を睨みつけて言った
「あのさ、もう何回も何回も言ってるんだけど理解しないみたいだからもう1回言っとくね。君とは別に仲良くなる気なんてないんだよ」
「……はい、そのようですね」
「僕は親が煩いから仕方なく籍を入れるだけ。君だって結婚出来れば誰だっていいんでしょう?……スキャンダルとかあんまり起こしたくないんだよね。分かる?」
「……本当に、私と仲良くなる気はないんですか?」
「ないよ。この先も」
「……ずっと?」
「そう、ずっと」
「…………そう……ですか」
「分かったら早く帰れば?暗くならないうちに」
心に氷のような棘が深く刺さった気がした
ズキンズキンと音を立てて更に深く吸収されていく
でも彼は
レッスンのない日は委員会に出てくれて
切れた指を心配してくれて
暗い中一人ぼっちで帰るのを心配して一緒に帰ってくれて
……今だって、また私が暗い中ひとりで帰ることのないように心配してくれてるんじゃないんですか
分かるんです。こんな短期間で分かってしまうくらい
勇次郎さんは口の悪さばっかり目立ってますけど、本当はとてもとても優しい人だって
鬱陶しい、って言いながら最後まで無視し続けたりしない
そりゃあ、基本無視ですけれど
けれどさっきの言葉は変わりようのない彼の本心で、これからもきっと変わることは無いんでしょうね
そんな、独りよがりなこと言わなくったっていいじゃないですか
ぽろぽろと涙が頬を伝う
じゃあ私はどうすればいいんですか
私だって結婚して、貴方と夫婦になるんですよ
勇次郎さんの言うことも叶えてあげたいけれど
少しは私と仲良くなってくれてもいいじゃないですか
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메이 - めっちゃ面白い…続きが見れるまで毎日見ます (2022年12月8日 21時) (レス) @page24 id: 36c85dd659 (このIDを非表示/違反報告)
コナミ - 更新、死ぬほど楽しみにしてます! (2021年4月18日 4時) (レス) id: 80df884d08 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - まかろんさん» うきゃぁ!嬉しいです!最近お話かけ持ちしすぎて更新が疎かになっていること…まじで申し訳なさすぎて禿げそうです(白目)うおおおお頑張ります!ありがとうございます!! (2020年5月3日 12時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
まかろん - あ〜神だわ好きです(唐突な告白)更新頑張って下さい!応援してます! (2020年5月3日 4時) (レス) id: 349227220e (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - サクラ?さん» サクラ?さんんんん!!!こんな駄作まで見てくださって本当に本当にありがとうございます!!!(´;ω;`)コメントもいっぱいくださって励みになっております!!嬉しすぎて笑みが止まりません!本当にありがとうございます!!!更新頑張ります! (2020年1月25日 11時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソーダ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年1月19日 19時