68話 ページ20
翌日も、私はアルバイトに勤しむ。
仕事は大変だけどやりがいがあるし、何よりマスターとおばさんが優しい。バイトめっちゃ楽しい。
だから毎日バイトの日が楽しみで、そのせいか昨日のドス君への不信感はすっかり頭から抜け落ちていた。
今日も店内には武装探偵社の面々が訪れている。
「本ッ当にすみませんでした!」
そう言ってテーブルに額を付ける勢いで頭を下げているのは谷崎さん。
その前に座っているのは敦くん。謝られてオロオロしている。
ちなみに私も吃驚した。
カウンターから話の内容に聞き耳をたてていると、どうやら敦くんの入社試験が終わったらしい。それで演技とはいえ失礼を働いてしまった事を谷崎さんは謝罪しているようだ。
もうそこまで行ったんだなあ……と感慨深くなりながらも彼等の席へ珈琲を運ぶ。
「お待たせしました、ご注文の珈琲です」
「あれ、Aさん?……嗚呼、太宰さんが言っていた喫茶店って此処だったんですね」
「そうだよ。彼女は此処の女給なのさ」
「多分これからも結構会うかもだし、宜しくね!後さん付けも敬語も要らないからね!」
品物を運びに行くと敦くんに驚かれた。まさかこんな身近で働いているとは思っていなかったらしい。
仲良くなりたいからさん付けしなくていいと言うと、戸惑い気味に「分かりました」と了承してくれた。
カウンターに戻ろうとすると、敦くんに引き留められる。
「そう云えば、Aちゃんって何歳なの?」
「18歳だよ」
「え、同い歳!?」
素直に年齢を伝えると敦くんだけでなく谷崎さんにも驚かれた。
谷崎さんって18歳だったんだ……勝手に20歳ぐらいかと思ってた。
「それなら学校には通っていないの?」
「それ、この前谷崎さんにも聞かれたなあ」
お盆を抱きながら苦笑する。
そんなに学校行ってないのが珍しい?言い訳考えるの無理だよ!何ならこの前どうやって誤魔化したら忘れたし!
どうやって誤魔化そうか思案していると、敦くんがハッとしたように呟く。
「若しかして、この前言っていた『帰る場所を失くした』という事と関係が……?」
その言葉に谷崎さんやナオミちゃん、太宰さんも私の顔を凝視する。
や、やめてー!余計な事言わないで!てか私そんな事言った!?……あ、言ったわ!過去の私が一番余計な事してるわ!
365人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
食塩水(プロフ) - 名前さん» 長い間待っていて下さりありがとうございます!優しいお言葉、身に染みます…これからも不定期更新ではありますが、あんなにお待たせしないように書き進めていきたいと思います! (2020年6月14日 22時) (レス) id: b80a6fdf4d (このIDを非表示/違反報告)
食塩水(プロフ) - まやさん» 長い間待っていて下さりありがとうございます!これからはあんなにお待たせする事がないように書き進めていきたいと思います…! (2020年6月14日 22時) (レス) id: b80a6fdf4d (このIDを非表示/違反報告)
食塩水(プロフ) - あやめさん» 更新お待たせ致しました…!2ページ"も"と捉えて頂けてありがたいです!自己満足な作品ではありますが少しでも楽しんで頂けるよう、もっと更新出来るように頑張りますね! (2020年6月14日 22時) (レス) id: b80a6fdf4d (このIDを非表示/違反報告)
名前 - 更新されてる……ありがとうこざいまああす!これからも作者さんのペースで頑張ってください!楽しみに待ってます!! (2020年6月14日 21時) (レス) id: 6e285a92e8 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 更新ありがとうございます!!これからも更新待ってます!頑張ってください!!!! (2020年6月14日 15時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ