67話 ページ19
ドス君が私を庇うように前に出る。
急にどうしたんだろう、よくわからない。
顔こそ見えないけど、ドス君が今、不機嫌なのは分かった。
「ふふ、君が一人の人間にそこまで執着するなんて驚いたよ。然も自分の黒い部分を話していないとは……私が今、此処で彼女に教えてあげてもいいのだよ?」
「出来るものならやってみて下さい。それに、貴方も黒の時代があった事を同僚の方々にお話していませんよね?」
鋭く光る太宰さんの目が怖い。まるでマフィア時代の太宰さんみたいだ。
というか、二人の言っている事が理解出来ない。半分くらいは何となーく分かったけど……ドス君の黒い部分って何?黒の時代っていうのはマフィア太宰さんの事だろうけど。
取り敢えずこの空気を何とかしたい。
きゅ、と軽くドス君の袖を掴んで話題を変えようとする。
「えっと……二人は知り合いなの?」
「ええ、まあ。ちょっとした顔見知りですよ」
「凄く仲悪そうだけど……」
ドス君はくるりと振り返って、目が合った。
その顔は何時もの優しい表情で、柔らかく微笑み、大事な物を壊さないようにそっと私の頭を撫でた。
その手は耳へと移動し、両耳を塞がれる形になる。
そして、ドス君はもう一度太宰さんの方を見た。
「Aさんに必要以上に近付かない方が良いと忠告して差し上げます」
「宣戦布告かい?良いだろう、受けてあげるよ」
太宰さんが不敵な笑みを浮かべ、パッと手を離された。二人が今何を話していたのかは耳を塞がれていたせいで聞こえなかった。
状況が理解出来ずにいると太宰さんが、「またねAちゃん」と手を振っていた。
それを見た一瞬の瞬きの後、景色は一転していた。
「あれ?此処、家?」
「ええ。ゴーゴリさんの異能力です」
「ハハハーハハ!本当ドス君ってば人使いが荒いよねえ」
文句を垂れるのはゴーゴリ君。彼の能力によって強制送還されたらしい。
私ちゃんと太宰さんに挨拶してないし、まだ腑に落ちないところもあるんだけど……まあまた今度でいいか。
「Aさん、もう夜遅いですし、今日はもう休んだらどうですか?」
「うん、そうする」
ドス君にそう提案されたのでお言葉に甘えて就寝の準備をする。
寝巻きに着替えながら今日の出来事を振り返って、ふと気づく。
あの時ドス君は迎えに来てくれた。
私はメールで「今から帰るね」としか伝えていないのに、どうして私の居場所が分かったんだろう……?
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食塩水(プロフ) - 名前さん» 長い間待っていて下さりありがとうございます!優しいお言葉、身に染みます…これからも不定期更新ではありますが、あんなにお待たせしないように書き進めていきたいと思います! (2020年6月14日 22時) (レス) id: b80a6fdf4d (このIDを非表示/違反報告)
食塩水(プロフ) - まやさん» 長い間待っていて下さりありがとうございます!これからはあんなにお待たせする事がないように書き進めていきたいと思います…! (2020年6月14日 22時) (レス) id: b80a6fdf4d (このIDを非表示/違反報告)
食塩水(プロフ) - あやめさん» 更新お待たせ致しました…!2ページ"も"と捉えて頂けてありがたいです!自己満足な作品ではありますが少しでも楽しんで頂けるよう、もっと更新出来るように頑張りますね! (2020年6月14日 22時) (レス) id: b80a6fdf4d (このIDを非表示/違反報告)
名前 - 更新されてる……ありがとうこざいまああす!これからも作者さんのペースで頑張ってください!楽しみに待ってます!! (2020年6月14日 21時) (レス) id: 6e285a92e8 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - 更新ありがとうございます!!これからも更新待ってます!頑張ってください!!!! (2020年6月14日 15時) (レス) id: f151b0ddd6 (このIDを非表示/違反報告)
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