ある人の親戚が､ヨコハマへ行く話２ (ページ6)

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４７、戦慄の話ページ6

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敦の後方から、町医者の格好をした男性と幼い女の子が話しかける

彼等を見た瞬間、体に戦慄が走る

それは、鏡花も同じなようだ

鏡花が震える手で、Aの手を握る

「少年。どんな困難でも戦局でも、必ず理論的な最適解はある。混乱してやけになりそうな時ほど、それを忘れては不可(いけ)ないよ」

「またね！A」

そう云って手を繋ぎ去る姿は側から見れば親子だ。

敦の目には、町医者の格好をした男＿＿鷗外が情の深い親切な人に見えたことだろう

「(あれ？今Aちゃんの名前を＿＿＿)」

ものが地面に叩きつけられる音がする

「､､､､､､鏡花ちゃん？」

鏡花は顔面蒼白のまま立ち尽くしている

そして、膝から崩れ落ちた。しかしAの手を離すことはない

『あ、泉ちゃん！』

「鏡花ちゃん！？如何したの！？」

敦が何度呼び掛けようが、震えが止まることはない。左右の瞳がぐらぐらと一致しない

『泉ちゃん、深呼吸です。深呼吸』

ひー、ふー、と息をするAに合わせ、少しずつ鏡花も息をする

「やっとAに逢えたのに！リンタロウの莫迦！」

「御免よ、エリスちゃん。でも楽しい一時だっただろ？」

コツコツと静かな路地裏に二人分の足音が響く

「私も童心に返って、異能で敵をばっさばさと遣っ付けたくなったよ」

「中年には無理」

「非道い！私は之でも＿＿＿」

物が散乱した袋小路に出る。そこには幹部である「中原中也」を含めた構成員等が、中央の体が捻れ絶命した男を取り囲むように立っていた

全員が鷗外を目にし、頭を垂れ跪いた

中也でさえ帽子を胸につけ跪いている

鷗外は微笑んだ

「これが組合の刺客かね？」

「はい」

「探偵社に組合、我々も又困難な戦局と云う訳だ。最適解が必要だね」

歩くたびに、靴の裏についた血が足跡をつくる。不意に鷗外は前髪をかき上げた

「組合も探偵社も、敵対者は徹底的に潰して＿＿＿殺す」

ポートマフィア首領

＿＿＿森鷗外

『ヰタ・セクスアリス』

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