ある人の親戚が､ヨコハマへ行く話２ (ページ36)

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７６、痛みの話ページ36

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画面を見て、事務所内を見渡して、また画面を見る

Aが椅子から腰を上げる

「また外出ですか？」

『うん、少し出てくる』

昇降機に乗り込み、一階釦(ボタン)を押す

スライディングドアが、Aの行動を非難するかのように事務所とAを遮断した

楼閣を出ると、少し冷えた空気が体温を奪ってくと対照に、ぎんぎんと照らす日光が目を刺激する

『眩しい』

「A」

『おっっと、乱歩さん』

振り向くと、大量の菓子が入った紙袋を抱えた乱歩がいた。だが、その顔はいつになく真剣で

いい加減な態度をとれば、今すぐ殴りかかってきそうな雰囲気だ

それでも、気づいていない風を装う

『どうしま、』

「行かないほうがいい」

普段からは想像もつかない強い口調

『まだ云い終わってません』

「ありきたりなやり取りなんて飽き飽きだよ。是れからの君の行動を全部含めて云う

行かない方がいい」

『』

見慣れぬ風景が、一瞬にして過ぎる

無人の車内で響く、不規則なリズムが逆に心地よい

先日の騒乱でほとんどが外出を避け、偶にしか座る場所を確保できない都会の電車とは考えられない

＿＿＿＿＿Aの頬に打たれた強烈な平手

＿＿＿＿＿頬を抑えて言葉を失うAに、乱歩は云い放った

＿＿＿＿＿巫山戯るな

Aは目的の駅に電車が到着するまで、打たれた頬を抑えながら、まだ呆然としていた