74、駄々っ子の話 ページ34
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突如感じた気配で、玄関へ意識が集中する
ドアノブが回ると、傷だらけの疲れた顔をした太宰が姿を見せた
しかも、ギプスを付けていない
何があった
「はあ、最低最悪の一日だった」
『お帰りなさい』
ただいまあと間延びした返事をした太宰は、玄関から四歩程歩くと畳の上でうつ伏せになった
「あー疲れた、躯が重い、心中したいー」
『駄々っ子め』
ほら、せめてシャワーくらはと太宰を風呂場に連行。湯船に浸かるなら、お湯は溜めたばかりなので大丈夫だろう
太宰が風呂場に居るうちに書類を片し、残りの家事を凡て済ませ、机を端に寄せ、布団を敷く
二組中一組は押入れのなか
敦の案を採用させてもらった
最後に医療箱を引っ張り出す。Aは早々に帰らされたが、与謝野はまだ探偵社に居ただろうに
寄らずに帰ってきたな
「ふう、すっきりした」
風呂から上がってきた太宰の髪から水が滴り落ちる
「よいしょ」
敷布団に腰を下ろすと、肩にかけた多越留で髪を拭き始める
所々動きがぎこちないな
Aの視線に気付いたのか、拭くのをやめ、大袈裟に腕をまわし始める
「痛たたた。組合にやられた傷が痛む、、、、ちら」
ちらを自分で云うか
多越留を洗濯機に放り込み、欠伸を噛み殺す
『太宰さんはまだ起きている心算で?』
「そうだなあ。私も少ししたら寝るとしよう
おやすみ」
『はい、おやすみなさい』
押入れの襖に手をかける
「Aちゃん」
『はい』
「いや、何でもないよ」
灰色の雲が、月光を遮る
_____________飛ばしていただいて構いません
皆様、明けましておめでとうございます
推しの現実から目を逸らし続けて約半年。漸く本を手に取った作者です
作者が執筆をしていなくても、読者の皆様はこの作品を読み、嬉しいことに評価を残してくださるなんて、、、、
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作者名:瑠風 | 作成日時:2022年5月10日 3時