73、振り返り未練の話 ページ33
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月光の階段が、真っ直ぐに窓を突き抜けている。敦が自身の異能力を認識した日も、虎から逃げた日も、Aが彼等と出逢った日も満月だった
ポートマフィアの首領__鷗外と、探偵社の社長__福沢が茶会と云う名の密会を済ませ、太宰がQの奪還に向かっている頃
Aは社員寮の一室で、人形のように座り込んだまま動かない
傍にあるのは、箕浦に頼んでいた過去の事件の資料
賢治達とガラの悪いギャングの依頼をこなした日、探偵社に戻ると乱歩から手渡されたモノ
渡された日、太陽の三分の一が隠れた時刻に、彼女は告げられた
___はっきりさせておきたい事がある
___お前の『異能力』についてだ
万年筆を置き、産まれたての雛の如くぴよぴよ後を着いて行った
着いたのは会議室
既に着席していたのは
室内が見えた瞬間に思った
終わった
この面子に囲まれればもう駄目だ。怖すぎ
次に、如何したっけ。太宰さんに着席させられて___
単刀直入に訊かれたのだ
「能力の詳細」を
『電気を出せます。自分以外の傷を癒せます』
かなり略したが、意味としてはこう答えた
そして「経歴が無いのは何故か」と。絶対知っているだろうに、態々私に聴いてきた意味が理解出来なかった
私は答えた
『今は話せません』
国木田さんが口を開いたが、社長に手で制される
「何故」
何と話せば良いかわからないからです
そう答えた
そこからもあまり多くは話さず、私は自席に戻って万年筆を手に取った。四人は会議室に残っていたので、まだ話し合うことがあるのだろう
小耳に挟んだが、本当に私の入社を太宰さんと、あの乱歩さんが推したらしい
吃驚仰天
私は、探偵社に信用されていない。当然ちゃ当然だ
入社当初、誰一人私の能力の詳細が判らなかった。故に凡百異能力を無効化する太宰と同室になったのだ
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作者名:瑠風 | 作成日時:2022年5月10日 3時