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67、「現実」の話 ページ27




太宰が席を外したことで、一人で駅にて事務員を待つ敦


やがて列車が到着



停車した列車から降りた三人を敦が出迎えた


「春野さん、ナオミさん、Aちゃん!ご無事でしたか!」

「ええ、、、でも真逆、事務員が狙われるなんて」


笑顔の敦とは対照に、ナオミと春野の顔は優れず不安の色を隠さない

Aも何処となく落ち着きがない


そんな三人を安堵させる為、敦は「安心してください。僕達が避難地点まで護衛しますから」と胸を張った

今は僕()ではないが



敦は探偵社で数少ない戦闘系の異能を持つ。だからこそ自分なら出来ると己に云い聞かせ、今度は自分が探偵社を守ると張り切っているのだ


しかし「現実」は時に蜜を吸わせ、時に毒を撒く



「そうだ、紹介しますわ。列車の中で知り合ったのですけど、、、」


ナオミがそう云うと、髪が白と黒のツートンカラーの十代前半の子供が列車を降りてきた


『ん?』

「おっと」


歩くはずみにA、敦の順番にぶつかった。だがAは触れた子供の体に違和感を覚えた



本来の柔らかな腕の感触がなかった



子供がゆっくりと振り返る



子供は微笑み、「かごめかごめ」を口ずさみながら上着の袖を捲ってみせた


「『、、、!?』」


捲られた袖の中には、無数の剃刀(カミソリ)とそれを固定するテープ。僅かに見える肌からは血が滴り落ちている

突如子供が手にしていた人形が、ケタケタと口を歪め活動を始めた



異様な空気に襲われ、敦とAの二人はナオミと春野を守ろうと身構えた

その目の前で人形が自らの頭を割いた


動画を撮って報道(ニュース)番組だろうと、ホラー番組に見せようものなら、喜んで飛び付いてきそうな不気味さだ





Aは身を屈めた


『ッ!!』


標的がいなくなった事により、虎の爪が空振る


「敦さん!?」


Aは頭上を見上げた。そこには目から血を垂れ流した敦がいた

彼は、目の前が見えていない目をしていた

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作者名:瑠風 | 作成日時:2022年5月10日 3時

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