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65、見たことのない_の話 ページ24




全員がその汽笛に気を取られた。「列車が出発する」と脳内がそれだけに揺り動かされ、意識が木から離れてしまった

そんな隙を逃すまいと次々に伸びてくる幹



Aは瞬時に意識を其方へむけ久遠で切り落としていく



一本

ニ本

三本

四本


十秒と経たずただ切るを繰り返す行為が、地面から生えた根によって終わった。片足を絡み取られ、更に久遠を持つ手も縛り上げられた


『ッ!!』







一瞬、何が起きたか誰にも解らなかった


ただAが感じたのは首への違和感、見えたのは驚愕するナオミと背後の黒い列車の姿





そして吹き出した自身の血、自分の首が切られた


頭はまだくっ付いてる、、、、、、切断されてない






すべてがスローモーションだった










_____死?





_____死ぬ?










三度目の凄く覚えがある、この感覚


右目に激痛がはしった気がした


可笑しい、もう痛く無いはずなのに


痛いのは首の方なのに





薄れた意識の中、これだけははっきり聞こえた


「Aッ!!」


よろけ、傾いたAの体




宙吊りのような形でぶら下がった彼女の体。動かないと思われたその体が、拘束されていない方を手を空へ翳した







瞬間、周囲に稲妻が逆さに突き上げた






ナオミと春野を避けて突き上げた稲妻は間違いなくAが起こしたものだ

春野が瞬きをして次に目を開けた時、Aを拘束していた幹が細々に切断され、次は自分とナオミの幹が切断されていた



地面に座り込んだ二人は、中央に立つAを見た



そこに立っていたのは俯いてはいるが確実にAと認識出来る、だけどAじゃない彼女が居た


声をかけようと口を開いた、だが気づけばナオミは肩に、春野は脇に抱えられていた




Aは二人を抱えて全速力で走った。もう列車は進み出している。線路に下り立ち、走ったかと思えば飛躍

急な浮遊感で二人は無意識に叫んだ


「「きゃあぁぁああああ」」


ばこんという音が鳴って、揺れたと思ったら、それは列車の振動だった

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作者名:瑠風 | 作成日時:2022年5月10日 3時

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