62、遠慮の話 ページ21
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無性に恥ずかしさが込み上げてきて、現実逃避で窓の外を見る。景色が綺麗だななどと考えていると、ドアミラー越しに谷崎がちらちらと視線を向けてくるのが視界に入った
何だ?とAが思っていると、意を決した様に谷崎が声をかける
「ね、ねえAちゃん」
『はい、何でしょう』
「Aちゃんは拠点に残らなくて良かったの?」
『へ?』
「なんだ谷崎、藪から棒に」
思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。そんなことを訊かれるとは考えていなかった
ま、真逆
『私にな、何か至らないことがあ、、、ありましたか?』
「いやいや!そういうのじゃ無くて、今は戦争中でマフィアや組合の団員が彷徨いている訳だし
Aちゃんはマフィアに目をつけられているから」
つまり谷崎はAがマフィアに狙われているから外に出るのは危険だと云いたいのだろう
敦に関してはポートマフィアと組合が対立したことで、懸賞金に関する心配は無くなった訳だし
「谷崎、Aは俺たちが鳥籠に入れてやるほど弱くは無い。己を護るすべくらい身に付けている。もう一般人じゃない、武装探偵社の一員だ」
『、、、、国木田さん』
『今の録音してなかったので、もう一度云ってもらってもいいですか?』
「貴様という奴は、、、、、、!」
谷崎は心の中で「(確かに、初めて会った時より遠慮が無くなったと云うか、逞しくなったと云うか)」と思ったのは内緒である
「あはは、ボクのお節介でしたね」
『いえ、私のことを案じてくれて嬉しかったです』
席の間から顔を出したAは谷崎の方を向いて笑いかけた。谷崎もそれを見て少し目を見開いたが、やがて優しく微笑む
その時、国木田の携帯が鳴った。即座に国木田は道路脇に車を停め、車外へと出て行く
「間に合うのは我々だけですか?、、、、、、はい、至急向かいます」
通話を終え国木田が車内に戻る
「社長からですか?内容は?」
国木田は目線だけを谷崎に向け、車を発進させた
「組合と激突する」
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作者名:瑠風 | 作成日時:2022年5月10日 3時