ある人の親戚が､ヨコハマへ行く話２ (ページ3)

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４４、黒幕の話ページ3

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＿＿＿＿考えに考えた結果

『こ、これ要ります？』

ポーチから取り出したのは、兎の形をした和菓子

「！､､､兎。くれるの？」

『はい、まだ未開封ですし､､､兎が好きだと』

「ありがとう」

鏡花は大事そうに和菓子を受け取ると、じーっと見つめ始める

その目は何処かきらきらと輝いている

「､､､可愛い」

今まで動くことのなかった鏡花の頬が、少し緩んだ

喜んでもらえて良かった

「おや、もう仲良くなったのかい？」

『太宰さん』

振り返れば、笑顔の太宰が立っていた

この顔は何か企んでいる顔だ

「お話中申し訳ないがAちゃん、是非！この報告書を仕上げて」

『絶対に厭です！』

「そんな食い気味で云わなくても、」

太宰がむすっとする

それくらい自分でして欲しい。勿論、嘘吐いて休んだ分の書類も

Aがギャングの依頼に着いて行った日、実は太宰は社員寮に居たのだ。

そして、明日マフィアから脱出したことにしようと考えていたそうだ。つまりサボり

だが、Aが既に報告をしたので、見事に暴露た

「敦君。今日は君に報告書の書き方を教えようと思う」

「こ､､､､､､この流れでですか？」

「君にも関わる話だよ。君に懸賞金を懸けた黒幕の話だ」

敦の顔色が変わる

「判ったんですか！？」

『あぁ、あの《組合》と呼ばれる北米の異能者集団ですか』

「その通り」

「実在するのか？組合は都市伝説の類だぞ」

＿＿構成員は政財界や軍閥の要職を担う一方で

＿＿裏では膨大な資金力と異能力で数多の謀(はかりごと)を底巧む秘密結社

＿＿まるで三文小説の悪玉だ

組合の実在は兎も角、何故そんな組織が敦を狙いしかも「七十億」と云う莫大な懸賞金を賭けたのかは意味不明だ

「直接訊くしかないね。逢うのは難しいだろうけど、巧く相手の裏をかけば＿＿」

太宰の声が途切れた。いや、云えなかったのだ

谷崎が血相を変えて飛び込んでくる

「た、大変です！」

呼応するように、外から騒めく住民の声と空気と大地に轟く回転翼(プロペラ)

事務所に居る者が全員窓の外を見る

道路に降り立った＇それ＇から出てきたのは、ニ米(メートル)はあろう大男と後ろに控えた少女、男性の三人

大男が此方を見ては、不敵に笑った

「先手を取られたね」

太宰が悔しそうに呟いた