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55、衝突前の話 ページ14




「頭、下げて下さーい」


声が響くと同時に、ポートマフィアの黒塗りの車が宙を舞い頭上を通過していった


「、、、、、、!?」

『あっ、、、ぶな!?』


投げられた車は地面に落ちれば、当然轟音と煙を上げて廃車になった

辛うじて頭を下げたが、あれば当たっていたらと考えると末恐ろしい。投げた本人は「おー、飛んだ飛んだ」などと呑気に云っているが


「大丈夫か。敦、A」


云いながら駆け寄ってきたのは国木田と賢治だった


「国木田さん、、、何故」

「鏡花の電話に着信があれば信号を出すよう、手を入れておいた」

『この事態を想定して、ですか』

「そうだ」


そこで区切った国木田は、敦の襟を掴み立ち上がらせた


「立て、何時まで守られ役でいる心算だ。刺されても起き上がる根性骨(タフネス)が人虎の売りだろう

Aもだ、敵に囲まれて座っている奴があるか」

『は、はい!』


跪くようにしていたAは『久遠』を取り慌てて立ち上がった

その背後で低い声が漏れた


「探偵社の毒虫め、、、、、鏡花にこれ以上毒の光を見せるな」


歪められた美しい口から出た一喝で、崩れていた体勢を整え構成員が再び銃口を構えた


「組織同士の全面戦争、、、、と云う訳か。この忙しい時に」


睨み合う探偵社の四人とポートマフィア

今にもぶつかり合うかと思われたが


「ワア、タイミング最高」


場に合わない明るい声


「衝突一秒前って感じだ。あと少し遅く来れば楽できたのに、君やる?」

「構わないが、、、、、、大勢からの注目が、、、、、痒い」


突如として現れた二人に皆が呆気にとられた

Aは肌にピリつくような感覚を覚えた



これは「イヤな予感」がする時だ



「仕方ない。『組合』の給料分は仕事しますか」


《組合》職人(フェロークラフト)

___ジョン・スタインベック

『怒りの葡萄』


《組合》職人(フェロークラフト)

___ハワード・フィリップス・ラヴクラフト

『旧支配者』(グレート・オールド・ワン







術式に関してなのですが、今更ながら変更致しました

爆電呪(ばくでんじゅ)
電気を自在に操る術式
Vを上げれば上げるほど自分に返ってくる

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作者名:瑠風 | 作成日時:2022年5月10日 3時

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