53、明るい世界の話 ページ12
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「凡てそなたの為じゃ、鏡花。孰れ判る時が来る」
紅葉の声は、どこまでも優しかった
その言葉と同時に、柱に敦を縫いとどめていた刀ごと夜叉が姿を消す
再度血飛沫が舞い、支えを失った敦が地面に崩れ落ちる
『敦さん!』
血だらけの敦の腹と背に手を掛ける。自身の体に回された手を敦が力強く握る。自分の不甲斐なさと痛みからか、歯を食いしばり前方の光景を見ていた
「ぐ、、、」
だが、手を取った鏡花が不意に寄りかかった
かと思えば紅葉の持っていた傘が舞い、トサりと音を立て地面に落ちる。
「、、、、、、!!」
紅葉の腹に突き刺さっていたのは鏡花の短刀。それ以上食い込ませまいと刃を握る手から、血が滴り落ちる
鏡花が飛び退いて距離をとった
「流石じゃ、、、鏡花。まるで殺気を、、、、、、感じなんだ」
鏡花が軽く左手を挙げると、その手には携帯が握られていた。紅葉は血相を変え懐を探すが、見つかる訳がない
「明るい世界を見た。知らなかった頃にはもう戻れない」
「、、、、、、それを使うな、鏡花。使えばそなたは」
「夜叉白雪
私の敵を倒して」
夜叉による戦闘___開始
場所は変わって、閑静なはずの住宅街の電柱にキャンピングカーらしき車が衝突して大破してしまっている
その傍らには、全身の力が抜けているのか地面にうつ伏せになっている青年と、それを無表情に見ている男
「僕のロシナンテ号が、、、、、もうここで寝ていい?」
道端だ、駄目に決まっている
「目的地まで、、、、、、、歩くしかない」
「この国の道は狭すぎだね?」
急にがばっと起き上がった青年を、長髪の男は悉く無視を、否帰りたさでそれどころでは無いのだろう
「は、、、、早く終わらせて、、、、、、帰りたい。外出は、、、四年振りだ」
「まあいいや、行こう。『
夜叉白雪と金色夜叉による激しい剣戟の音が響く中で、敦は同期に支えられながら目前で繰り広げられている戦闘を見つめていることしか出来なかった
「Aちゃん、僕、、、」
『喋らないでください、傷を治すことに専念しないと。それに、私達が行ってもあの子の邪魔にしかならない』
「、、、、、、」
喋りながらも戦闘から目を離すことはない。
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作者名:瑠風 | 作成日時:2022年5月10日 3時