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「Aちゃん!いた!ここにいたんだね!」
「探したんすよ」
「あ……日和さん、ジュンくん」
中庭の木陰で休んでいると、
日和さんとジュンくんがこちらに駆けてくる。
「携帯に何度も電話したのに繋がらないし、なんかあったんですか?」
ジュンくんが座り込んでいた私の顔を覗き込む。
「いや、特に……なにも……」
「その反応は何かあったね!
包み隠さず僕とジュンくんに話すといいよ!」
「携帯も見れないくらい悩んでたんですか?」
ジュンくんと日和くんの真摯な眼差しが私を射抜いて離さない。そのまま数秒間黙りこくっていても、彼らは引き下がってくれる気配はなく、ずっと私の顔を見つめていた。
「……言いたくないんです、ごめんなさい」
そう言い、私は自分の膝に顔をうずめた。
そう、そんなことしたくはない。親友だったあんずちゃんを疑うようなこと、したくない。
きっと何かの間違いだと思いたかった。
きっと私に向けられたものではないと、そう都合のいいふうに解釈したかった。
「……そんなに深刻なことなのかな」
日和さんの顔が悲しみに満ち溢れる。
ああ、そんな顔をさせたいわけではないのに。
いつでも、陽だまりのようなあなた達には、
私を救ってくれた救世主のようなあなた達には、
ただただ笑顔でいてほしいだけなのに。
日和さんとジュンくんだけが、
私を救ってくれたのに。
最低だ。こんな私。
ほんとうに消えてなくなりたい。
心の底からそう思った。
「あっ、日和さん、ジュンくん!
ようこそ、夢ノ咲学院へ───」
「あぁ……あんずさん」
「やあ、あんずちゃん」
そして、また現れる、
数ヶ月前と変わらない笑顔のあんずちゃん。
その笑顔で、その綺麗な声は、
決して、私の名前を呼んでくれることはなかった。
その瞬間に確信したんだ。
あんずちゃんの中の私は、きっと悪役なんだと。
*._
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ありさ(プロフ) - おかえりなさい!! (1月31日 22時) (レス) @page27 id: 00612c0ec4 (このIDを非表示/違反報告)
鈴奈(プロフ) - コメント失礼します。私も同じような経験したことがあります。そのせいか、私は親のことがどうも好きになれず…、笑たぴさんとても優しい方ですね。正直私は自分の気持ちに嘘をつき、事を終わらせました。だからどうか貴方は自分の生きたいように生きてください。 (2022年7月29日 21時) (レス) @page26 id: 973e1807e6 (このIDを非表示/違反報告)
べベンべエエェェ - 世界に繋がっていますから、モラルは保証されません。そういう人に話してみてはどうでしょうか。お母様が死にたい。といったなら死にたいのは今だけかもしれない。まだ未来があるんだから辛いときは一緒にいるから約束するよ。となどでも声をかけてみてはどうでしょうか (2022年6月5日 23時) (レス) @page25 id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
べベンべエエェェ - 信じられてこの人なら話してもいいかもしれない。この人だけは絶対に信じられるという人を探してみてはどうでしょうか。クラスメイトや、ツイッター、相談部屋、Tiktokなどでもいいと思います。でも顔を知らない。一度も会ったことがないとなると (2022年6月5日 23時) (レス) @page25 id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
べベンべエエェェ - 今まで一緒だったのに急になくなるのは悔しいとか、辛いとかよりもどうしてこうなったんだろうですよね。自分が生まれてこなければとか、自分ばかり責めたりしちゃいますけど、作者さんは悪くないと思うし、それでも自分が悪いと思うなら誰か一人だけでも、 (2022年6月5日 23時) (レス) @page25 id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2018年10月18日 20時