sleep ページ2
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「起きよ、A」
『痛い………』
放課後の中庭は静かで好きなのに。
僕の顔を分厚い本で叩いたリリア様は、どこか不機嫌そうな顔で僕を睨んでいた。絶対怒ってる。
「放課後まで教室に一度も姿を現さなかったとレオナから聞いたぞ。こんな所で昼寝しおって……」
『体調が悪かったんですよ、アハハ……』
なんて冗談も通用しない。リリア様は僕の髪の毛を引っ張ると、ずるずると引きずっていこうとする。めちゃめちゃ痛いから髪の毛はやめてほしい。切実に。
『どこに行くんですか？』
「お主の補習に決まっておるじゃろう。たんまりと溜まっておった。学園長が怒っておったぞ」
『ウワァ………行きたくないです。』
「お主に拒否権などない。
さっさと終わらせてくるがよかろう」
そう言ってまたずるずると僕を引きずるリリア様。
この犬のような扱いは何なんだろうか。この学園で習うことはだいたいもう頭の中に入ってるからサボっていると言うのに、補習は酷すぎやしないか。
「わしはAを教室に送り届けた後、マレウスを探しに行かねばならん。お主、サボるでないぞ」
『さ、サボるわけないじゃないですか……アハハ』
こうなったらサボってやる……と思っていたところ、リリア様はそう言って僕を睨んできたので身震いした。絶対リリア様って僕の頭の中見てるよね。怖い、怖すぎる。
『リリア様、いつまで僕のこと引きずる気です？』
「普通に立たせて歩かせるとお主はすばしっこく逃げ回るのでな。ちと辛抱せい」
『痛いです』
そして、きちんと僕は教室までリリア様に引きずられました。髪の毛軽く千本は抜けた気がする。
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作者名：たぴ | 作成日時：2020年5月16日 16時
