“嘘つき”は神に祈る Ⅲ (ページ48)

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無限の彼方へページ48

いつもの気だるげな態度はどこに、と元気いっぱいなAをゾロは担ぎあげたまま暴れないようにと見張っていた。運がいいことに、利き腕を使えないAは下手に暴れられないため、ゾロから抜け出そうにも思うようにできないだろう。

　面倒事は嫌！共演NG！とあれほど訴えかけていた男が、カラクリ仕掛けの船一つでこうなるのだから、ロマンとは実に面白い世界だ。

「船員がたった5人ということはあるめェ……まァいい……とりあえず聞こう……」

『なんだあいつ、ナイフ食いやがった』

　肉を刺していたナイフごと胃の中へと収めたブリキング号の船長“ワポル”は、メリー号へと足を入れる。
　鉄の顎を持つ凶悪な顔面が特徴的なその見た目は、Aの頭に巨大な印象を植え付けた。

　ワポルはドラム王国という国を目指しているらしく、A達にドラム王国の永久指針(エターナルポース)か記録指針(ログポース)を持っていないか尋ねてきたが、当然持っているわけがない。

『ドラム王国？』

「ん？なんだお前、知ってるという顔だな？」

　ワポルに視線を向けられたAは、思い出したような口振りで返事をした。

『聞いた事があるってだけさ。世界政府加盟国のひとつってことしか知らねェよ』

「はーあー使えないな。なんのために今まで生きてるんだか……持ってねェなら、お宝とこの船をもらう」

『ロロノア、こいつ殴っていい？無限の彼方まで殴っていい？』

　拳を握るAに「落ち着け」と返すと、ゾロはワポルの奇行を目にした。
　人並み程度の口が有り得ないほど開かれた瞬間、船の一部が食い破られる。ベキッ……と木材が剥ぎ取られた音を聞いたウソップは、顔面蒼白だった。

　ルフィの怒鳴り声と下っ端を殴った拳の音を合図に、ゾロとサンジはニヤリと笑った。

「怪我人は大人しくしとけよ」

『お前がさせたんだろ……つーかやめろ、ほどけロロノア！おい、ちょ、ロロノアくん!!』

　近くに放り投げてあった補助用の縄を使ってAの足を縛ったゾロは、得物を手にルフィとサンジの2人とともにワポル達を無双した。

『ロロノアァ……』

「はっはっは、悪かったよ。そう怒るなって」

　グルルと、Aは縄を解くゾロを獣のように睨んだ。

　ルフィの活躍によってワポルを無限の彼方へぶっ飛ばすことに成功した麦わらの一味は、医者を求めて航海を続ける。