“嘘つき”は神に祈る Ⅲ (ページ20)

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究極で警告なサプライズページ20

「自分の胸に立てた“戦士”という名の旗を折る」。そんな思いを込めての決闘は、100年続いても終わることはない。
　最終的に武器を捨て、盾と盾での殴り合いを果たしたドリーとブロギー。彼らの誇り高き決闘は、7万3千466回目の引き分けで島に静けさを取り戻させた。

「ゲギャギャギャギャギャギャ……!!! そうか!! 向こうの客人もてめェらの仲間か!!」

『鼻の長いのがウソップ、女がナミだ。あいつら船から降りないと言っていたが結局来たのか、もの好きな奴らだな』

「あいつらも冒険好きなんだよ!!」

『お前と一緒にするな』

　ブロギーからもらった酒樽を手に、ドリーはAとルフィの掛け合いを笑った。
　「お前も好きだろ、冒険!!」とルフィが言うと「いいや、嫌いだね」と返すA。2人に挟まれたビビは、浮かない表情でドリーに記録の期間が1年であることについて尋ねた。

　1年も過ぎればアラバスタ王国がどうなっているかなど予想がつく。頭を抱えてどうすることもできないビビを見かねてか、Aは静かに口を開く。

『なら適当に進んでみるか？運が良ければ行き着く。おれもそうして東の海まで流れてきた』

「ゲギャギャギャギャギャギャ!! 本当に面白ェチビだ!! いいな!! 名案じゃァねェか!!! ゲギャギャギャギャ!!!」

「だっっはっはっはっはっは!! そうすっか!? あっはっはっはっはっは!! 着いたりしてなァ!!」

　腹を抱えて笑うルフィとドリーに、ビビは「あのねェ」と呆然とする。

「気に入った!! おめェ名前はなんだ、言ってみろチビ!!」

『チビじゃねェ、Aだ』

「ゲギャギャギャギャギャ!!! いい名だ!! どうだA、お前も飲んでみるか!?」

『悪いが今は飲める気分じゃねェんだ。気持ちは有難く頂戴するよ』

　Aは、グイッと目の前に見せられた酒樽を手で押し返す。そんなこと言うなよ、つれねェなァ、と執拗に勧めるドリーに対して煩わしさを感じてきたAは表情に出さないようにと笑顔を振りまいた。

『(火薬……？)』

　一瞬香ったその臭いがAの眉を動かした。
　香りは記憶を呼び起こすというが、この臭いで呼び起こされたのは何十年も前の射撃訓練の時代だ。鼻の奥を刺激して痛みを起こし、線香とは程遠い刺激臭がAをハッとさせた。

　ドゴォオン！！！

『おっさん!!』

　危険信号が脳内に響き渡った。
　正体不明の爆発に巻き込まれたドリーは、背中から地面へと倒れる。