誇り ページ19
『ん、これ美味いなおっさん』
「ゲギャギャギャギャギャギャ!! そりゃ良かった!!! おめェらの、この海賊弁当とやらもいけるぜ。ちと足りねェがな!!」
「当たり前だろ、マズイなんて言ったらぶっ飛ばすぞ!!」
「ギャギャギャ、面白ェチビだ!!!」
『あんたもな、面白いノッポだ』
振る舞われる恐竜肉料理を堪能したAとルフィは、持ち前の肝の座り方からドリーに気に入られる。
巨人族としてエルバフの村に生まれたドリーは、村の掟によりこのリトルガーデンを決闘場としてある男と勝負している。しかし、かれこれ100年決着がついていない戦いは、いつ終結を迎えるのか彼らにも分からない。
『巨人族ってのは、どいつもこいつも血の気が多くて呆れるぜ』
「ほう、どおりでおれを見ても驚かないわけだ」
肉を片手に呟いたAに、ドリーは気に入った！ と豪快に笑った。
自分を見ても顔色ひとつ変えない人間が珍しいのか、「お前はいい男だな」と人差し指でAの背中を叩く。
暑苦しくて痛いとAは思うが、変に血の気が余っている奴よりはいいだろう。そんなことを考えながら肉にかぶりつくと同時に、島の中心にそびえ立つ火山が煙を立てて噴火した。
「さて……じゃあ行くかね……!!」
『行く？ どこにだ』
右手に剣を握って立ち上がったドリーに、Aは首をかしげながら聞き返した。
いつしか、“真ん中山”の噴火が決闘の合図として決まりになってしまったと語るドリー。
誇らしく足を動かす彼に、100年も続ける殺し合いに非難の声を浴びせたビビは理由を問おうとしたが、ルフィに口を塞がれた。
「誇りだ」
理由などとうに忘れた！！！！
決闘が始まった。
巨人二人は、目を合わせると勢いよくぶつかりあう。剣と斧は双方の盾で防がれるが、力のぶつかりあいは盾など不要というように勢いを増す。
『どうした？』
ばたっと倒れたルフィは、今まで止めていた息を吐き出しながら答えた。
「まいった……デっケェ」
『そりゃあ巨人だからな。当然でけェよ』
何を当たり前なことをという表情を浮かべるAだが、ため息をつきながらルフィの隣に座ると「迫力が違ェ」と一言呟いた。
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作者名：ヒロ子 | 作成日時：2022年9月22日 19時
