“嘘つき”は神に祈る Ⅲ (ページ18)

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冒険心ページ18

イレギュラーの登場により、結局冒険へと駆り出されることになったAは、あっちこっちと勝手に進むルフィの後をつける。
　ジャングルに笑顔で突っ込んでいく人間など、Aが知る限りルフィしか知らないし、見たこともない生物を躊躇なく触るのも、ルフィだけだろう。

「イカみたいな貝がいるぞ、イカガイ!!」

『なんだそれ、アンモナイトに似てんな』

「イカガイだろ」

『なんだよイカガイ』

　ピチピチと動く生物にAとビビは顔を歪ませた瞬間、正体不明の足音が響き渡った。
　尋常ではない音の大きさに地面は揺れ、樹と葉はきしめく。足音の主は重い首をよっこらせと持ち上げると、ジャングル特有のギザギザとした葉や新芽を味わっていた。

「恐竜っ!!!!」

『なんだ、恐竜か』

「恐竜っ!!?」

　偉大なる航路にある島々は、海の困難さから島と島の交流もなく独自の文化を築いているものが多い。飛び抜けて発展した文明を持つ島もあれば、何千年何万年ものあいだ進歩も遂げずにその姿を残す島もある。
　発展もなく、特筆した文明もないリトルガーデンは、文明の進化も遂げることのない生きた太古の島だ。

『いい加減にしろルフィ。そいつは恐竜だ、食われるぞ』

「大丈夫だよ。こいつ、さっきから草ばっか食ってるしこれのこと気づいてねェよ。それよりお前も来いよA!! 楽しいぞー!!!」

『あのなァ、大人しいからって言ってもそいつは──あっ』

　首長恐竜、おそらくブラキオサウルスの類の頭に登り、余裕綽々と景色を見渡すルフィにAは注意を促した。
　歳をとっても男心はあるもので、恐竜に乗りたいというルフィの意見には賛同だが警戒心皆無なのはオススメしない。
　案の定、Aの忠告を無視したルフィは流れるように恐竜の口の中へと案内され、ごくんと喉を鳴らされると同時に胃へと真っ逆さまだ。

「食べられてんじゃないわよーーーっ!!!」

『ちっ、バカかあいつ』

　喉を切り裂いてやろうとAがナイフを手にした──そのとき、

「ゲギャギャギャギャギャギャ!!! 活きのいい人間だな!!! 久しぶりの客人だ!!!」

　恐竜の首を意図も容易く斬り裂いて現れた男、巨人族のドリーはルフィを片手に大きく笑った。

　目を輝かせたり腰を抜かすビビとは違い、巨人族程度、見慣れているAからしてみれば珍しくない。
　海兵にいる巨人部隊を思い出したAは、ルフィ達とたもにドリーに歓迎され家へと招待された。