“嘘つき”は神に祈る Ⅲ (ページ44)

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まっすぐ進めページ44

「ほんっとドジね、まさか転んで骨を折るなんて……」

『やっぱ50いくとガタが来るんだよ……っいてて、もっと優しくしてくれルフィ』

「おれ、Aが怪我するところ初めて見たよ」

　ゾロとともに船へ帰ってきたAの左腕がぷらーんとあらぬ方向へ行ったり来たりしていたのを見たルフィ達は、驚いた顔を見せると急いで救急箱を持ってAを座らせた。
　出航した船の中で、ルフィによって左腕を包帯でぐるぐる巻きにされたAは「ゾロと恐竜を探していたら転んで骨を折った」と嘘をついた。隣で「何やってんだクソマリモ」とサンジから喧嘩を売られていたゾロは、申し訳なさそうにAを見ては口を閉じていた。

「ちょっとゾロ!!! あんたが見てなかったから怪我したのよ!? 責任もってAを介抱しなさいよね!!」

「はァ!? なんでおれが」

「あったりまえじゃない！ Aがいないと、万が一の時に困るのよ!? 今回だって、Aのおかげで救われたのもあるし……これから出てくる強敵に、あんた達が勝てるとは限らないじゃない!!」

『おれも限らないんだが』

「あんたはいいのよ。強いんだから」

『強さの基準がわからねェよ』

　うーんと唸るAは、ルフィの「あ!!」という声に指示されるように前を向く。程よい風が吹き、前方に立ち尽くす2人の巨人のマントが揺れた。
　ドリーとブロギーは、己の相棒を手に海を見つめると語った。

「この島に来たチビ人間達が……」

「次の島へ辿り着けぬ最大の理由がこの先にある」

『？』

「お前らは決死で我らの誇りを守ってくれた」

「ならば我らとて……いかなる敵があろうとも」

「友の海賊旗(ほこり)は決しておらせぬ……!!!」

「我らを信じてまっすぐ進め!!! たとえ何が起ころうとも、まっすぐにだ!!!」

　鎧が影となって2人の表情を隠した。

　ドリーとブロギーの言葉に「わかった」と答えたルフィは、言われたとおり振り向かないと腕を組む。
　A達も、頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら前を見た。

「見て!! 前っ!!!」

『海王類……じゃねェ、でっけー金魚!?』

　巨大な波を立てながら浮き上がってきた金魚は、メリー号の進行を邪魔する。
　舵を切って！と叫ぶナミだったが、その命令はウソップに反対され、ルフィもそれに従った。“まっすぐ進む”と決めた道があるのなら、それに従うまでだ。

『諦めろ、ナミ』

　Aは、泣き叫ぶナミにせんべいを渡す。