【wrwrd】我々アングラ世界に生きし者

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会話文多めで申し訳ない。最終話に向けて一気に書き上げるつもりです
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「掬いあげたいって言ってたけど、どうやって掬いあげるつもりなの？何人もの女の子たちが仕事を辞めたあとみんな幸せに生きてるとでも思ってるの？
残念でした！引き取られていった子は永遠に愛玩用ペットとして飼われて、辞めた子は今更表のカジノになんて採用されない。これでみんな幸せになれるとでも思った？ねぇ、それって誰にとっての幸せなの？少なくとも、私たちは幸せになんてなれないんだけど。そうやって、ヒーローにでもなるつもり？」

「俺たちはヒーローなんてチンケなものでは無いさ」

半ば逆ギレのように口をまくし立てる。それを大人しく聞いていたはずの目の前の男は、ヒーローという単語に反応したようだった。

「俺たちはヒーローではない。この世界の、主役だ」
「……は？」
「当たり前だろう。マフィアはどう足掻いても正義ではない。マフィアなりの正義はあれど、世間一般的に見ればそれは非人道的な行為で、悪逆非道。人間を人間とも思わないまま殺し、そしてそれを糧に人間を揺する。これをどう解釈すればヒーローになる？」

……それは、確かにそうだ。ゾムさんも人前でどうどうと男に馬乗りになって顔面を殴っていた。あれはヒーローがやってはいけない行為だろう。

「我々は、主役だ。この裏世界の、ひいては表世界にまで進出する。俺はお前たちを掬いあげるつもりではあるが、助けてやるつもりはない。掬いあげ、協力し、そして主役足る舞台を魅せてほしいだけだ」
「……舞台に上がるべきではない人間だっているでしょう」
「それは上がる舞台を間違えているだけだ。他人の舞台では主役にはなれない。それが悲劇だろうが喜劇だろうが、主役であるということが重要だ」

楽しそうに、悪い笑みを浮かべているグルッペンさんに思わずため息をつきたくなった。わかりやすいように説明してくれているんだろうけど逆に小難しい話になっている気がする。助けるつもりは無いなんて言っておきながら、掬いあげる段階で救われる人間だっているだろうに。

「じゃあ質問。主役になる前に自害を希望した場合は？」
「残念だがすぐ楽にしてやろう。なに、脳味噌が少々そこらに飛び散るだけだ」

彼が望むからと言って無理に生きなきゃいけない必要は無いようだった。それならば抗う必要は無い。私だって、ようやく手に入れた自由を手放すことを惜しいとは思っているんだから。

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