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グルッペンさんは額に手を当てて少し悩んだような顔をする。
「……まず、これが1エルンだと言うことは把握しているな？」
ぴらりと一枚のお金を見せる。私は勿論だと頷いた。……ちょっと前まではエルンという単価の意味すら知らなかったけれど。今までは枚数という意味でしか使わなかったんだから仕方がない。
「それでは、1エルンあれば買えるもの、何か思い浮かぶか？」
そう言われて思わず怪訝な顔をしてしまった。
「……一枚で買えるものなんて無いに決まってるでしょ。最低値は十からなんだよ」
そう言うと愕然とした表情をする後ろの三人。グルッペンさんはやはりか……と小さく呟いた後、目の前に水の瓶を取り出した。
「我々の常識では、これが1エルンだ。お前たちの常識ではいくらだ？」
「……五十」
「それほどまでに物価が高騰しているならば確かに服を揃えるのも大変だろう。それでは次の話に行こうか。俺は確かにお前に二百万エルン渡したはずだ。なのに何故お前は二百しかないと言うんだ？」
「チップが丸々全て女の子の手元に入るわけないじゃん。オーナーが持って行って、本当に貰えるのは十分の一だけ」
「……弱みでも握られているのか？」
私は押し黙る。別に本当に弱みを握られているわけでも、言い難いことがあるわけでもない。単純に、意味が理解できなかった。
「……なんでそんなこと聞くの？本当に助けようとでも思ってる？」
「お前を調べたところなんの情報も無かった。お前に限らず、他の従業員もな。話を聞く限り、召使い以下の暮らしをしているようだ。そんな奴らを掬いあげたいと思っているだけさ」
「そのためにまずは何してくれるって言うの？」
グルッペンさんは少し考えて間を置いた後に喋った。
「まずは住む場所を用意しよう。そして教育を受けさせる。いつまでもあの人数を面倒を見切れる訳では無いからな。そして行く行くは……」
私はそれを途中で遮った。
「ねぇ、アンタらみたいな連中に何が分かるって言うの？」
グルッペンさんはこちらを冷たく見た。コネシマさんやエーミールさんまでこちらに冷たい視線を送る。
私はそれに負けじと声をあげた。
「教育をすればまともに働けるようになると思った？表通りの人間みたいに？引き取られても、この仕事を辞めても、何も出来ないんだよ。だって、……だってディーラーをするか身売りをするかしか、知らないんだもん」
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闇ちょこ(プロフ) - 白尾…会社……？？えっっ…アッ、やめときますね！！((マフィアのイメージとか世界観が他の作品と全然違うので、新鮮でとても面白かったです！！完結おめでとうございます…！！ (2021年4月7日 13時) (
レス) id: c4d9600a7c (このIDを非表示/違反報告)
なのな(プロフ) - 完結本当におめでとうございます！お疲れ様です！ランドルせさんの長編小説ということで新鮮な気持ちでドキドキしながら読ませて頂きました。相変わらずとても内容が濃くて面白かったです……！！これからも期待しています！！頑張ってください！！！ (2021年4月6日 20時) (レス) id: cb0e93c590 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - ぴざるさん» 好みって言われるの嬉しいです！更新頑張ります！ (2021年3月28日 8時) (レス) id: 29ab01aaa3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴざる(プロフ) - うぐっ…神作品に出合ってしまった…めっちゃ好みです更新頑張ってください (2021年3月28日 7時) (レス) id: 8f43ba0ff3 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - 雨音さん» コメントありがとうございます！ゆっくりめの更新になっていますが完結まで走りきろうと思いますのでよろしくお願いします！ (2021年3月20日 13時) (レス) id: 29ab01aaa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ランドルせ
| 作成日時：2021年3月4日 19時
