【wrwrd】我々アングラ世界に生きし者

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なんとなく今日はダメだと思った。何か決定的なことがあった訳では無い。カジノにいるメンバーもいつも通りだし、体調も悪いわけじゃないし、コンディションだって完璧だ。
それなのに、なんとなく今日はダメだと思った。
カードシャッフルが上手くいかないわけじゃない。突然運が悪くなった訳でもない。
確かに昨日は比較的テキーラを飲みはしたけど、あれくらいで体調を崩すほど弱いわけでもない。

「……どうしたん？大丈夫？」
「……ん、大丈夫！お客さん強いからちょっとびっくりしちゃったぁ」

目の前にいるお客さんに対して笑みを浮かべる。お客さんに賭け金の倍のお金を渡す。お客さんは軽く数えると、それを回収した。

「いやぁ、バニーちゃんポーカー上手やね。ツーペア以上しかこぉへん試合とか、俺……初めて♡」
「初めてもらっちゃったぁ♡大事にしてあげるね？まだやる？このまま勝ち逃げしちゃう？」
「んー……、どうしよかなぁ。ちなみにここで一番強いんはバニーちゃん？それとも店長？」
「バニーの中で一番強いのは私だけど……」

このカジノの中で一番強いのはオーナーだ。私にイカサマの技術を教えたのはオーナーだし、バニーガール達にトランプ技術を教えるのもオーナー。このカジノの中でオーナーに勝てる人間は誰もいない。

そう思った、瞬間だった。

「……ひとらん、聞こえとる？俺から見て右あたりの扉の近くにおる男」

「え、？」

その言葉を合図に、銃声が響いた。

「死にたくない奴は頭下げろ！さもなければ頭を撃ち抜く！」

声がする方を振り向けば、スーツを着た男が複数。その中に、見た顔がある。

「ごめんなぁAちゃん。色々教えてくれてありがと♡とぉっても助かっためぅ」

温和そうな顔の男は、嬉しそうに笑いながらそう言った。

やっぱり今日はダメな日だった。

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