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−トントン視点−
「それで、責任者は見つかったか?」
「アカンかった。気の弱そ〜な男が店長として祀り上げられてるだけで、ソイツも名前を貸す代わりにそのポストに付けられてるだけのお飾りやったわ」
「やはりな」
「は〜、わかってんねやったらわざわざ行かせんといてくれます?この日の為にどれだけ忙して書類やってたか……」
「しかし俺の推測だけじゃあお前は納得しないだろう?」
何も言えずに、コツコツと足音を鳴らしながら隣を歩いた。コンクリートの地面は足音がよく響く。
「で、例のウサギさんには会えたん?」
「ああ、素晴らしい動体視力の持ち主だった。そしてとても記憶力が良い。あそこに居るのが勿体ないくらいだな」
「はぇ〜、コネシマも面白い女やって言うくらいやったからそこそこやとは思ってたけど、グルさんまで言うんや」
「恐らく、動体視力だけならばゾムに匹敵するだろう。あの記憶力は鬱並だ。イカサマだけならばチーノを上回る」
「……思ったより高評価やんけ」
くつくつ、と面白そうに喉奥で笑い声を奏でる。まるで悪役のような笑い方に思わず右側を見た。僅かな光をメガネが反射して、自分の目に突き刺さる。ああまったく、この人が楽しそうだと苦労するのは自分だ。なのに未だに右腕すら名乗らせてくれないんだから本当に殺してやりたい。
「鬱に会ったら、彼女の名前を教えてやろう。きっとアイツもコネシマも知らないだろう」
「え、聞いたん?」
「彼女自身が自己紹介した。A、というらしい。オスマンにも伝えておいてくれるか?」
「調べるん?」
「ああ。あれ程の頭脳の持ち主だ、どこかで引っ掛かるだろう。引っ掛からなければそれはそれで上々。こちら側で勝手に引き抜いてやる」
「……ほんまに気に入ったんやなその女のこと」
「面白いことになりそうだろう?」
同意を求められるようにこちらを見られても困るんやけど。そう答えようとしても、既にグルさんの中では決まっていることらしい。相変わらずのワガママで、自己中で……、振り回されるこっちの身にもなってほしい。
「……
「彼女がそう望めば」
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闇ちょこ(プロフ) - 白尾…会社……??えっっ…アッ、やめときますね!!((マフィアのイメージとか世界観が他の作品と全然違うので、新鮮でとても面白かったです!!完結おめでとうございます…!! (2021年4月7日 13時) (レス) id: c4d9600a7c (このIDを非表示/違反報告)
なのな(プロフ) - 完結本当におめでとうございます!お疲れ様です!ランドルせさんの長編小説ということで新鮮な気持ちでドキドキしながら読ませて頂きました。相変わらずとても内容が濃くて面白かったです……!!これからも期待しています!!頑張ってください!!! (2021年4月6日 20時) (レス) id: cb0e93c590 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - ぴざるさん» 好みって言われるの嬉しいです!更新頑張ります! (2021年3月28日 8時) (レス) id: 29ab01aaa3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴざる(プロフ) - うぐっ…神作品に出合ってしまった…めっちゃ好みです更新頑張ってください (2021年3月28日 7時) (レス) id: 8f43ba0ff3 (このIDを非表示/違反報告)
ランドルせ(プロフ) - 雨音さん» コメントありがとうございます!ゆっくりめの更新になっていますが完結まで走りきろうと思いますのでよろしくお願いします! (2021年3月20日 13時) (レス) id: 29ab01aaa3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ランドルせ | 作成日時:2021年3月4日 19時