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数人の懺悔を聞いても、特に代わり映えはしない。
「食事が足りなく、いつも店の前を通る度に邪な考えが通り過ぎるのです」
「彼女がいるのに別の女性を好きになってしまいました」
「Aお姉ちゃんあそぼ！」
1度はどこかで聞いたことのある声。私はそれに対し少しの助言と、神は見守っているということを伝えるだけ。
「食事が足りないなら教会にいらっしゃって。僅かですが神のお恵みを受け取ると良いでしょう。神はいつも見守っています、邪な考えは振り払う事が大事ですよ」
「不誠実なことは貴方にも付き合っている女性にも好きになった女性にも得はありません。両方とよく話し合うことをオススメします。神は見守っていますよ」
「他の子と遊んでおいで。夕食前に絵本を読んであげますから。悪い遊びはダメですよ、神は見ているんですからね」
同じような回答をしながら、次の人を呼べば、目の前に少し特殊な人影が写った。
「……目の前で、種もみを盗まれてしまったの。大事なものだったんですって。私は、魔物を追い払うのに必死で、あの子の心をまもれなかった」
お姉ちゃんだ。声も、影になっている鎧も、お姉ちゃんのまんまで。
「……神はいつも見守っています。きっとその盗人はすぐ見つかり、その子にも幸せなことが起こるはずでしょう。……そうでしょ、お姉ちゃん」
「……そうね。絶対見つけ出して返させてやるわ！」
くすくす、と笑いながら懺悔室を出る。お姉ちゃんが帰ってきたということはもう夕方なのだ。部屋を出れば同じタイミングでお姉ちゃんが片方の部屋から出てきた。
「おかえり、お姉ちゃん」
「ただいま。……ああそうだわ、教会の庇護を求めて来た旅人がいるの。ロボロくんっていうのだけど……、気にかけてあげて」
そう言って教会の椅子に座っている、髪の毛がツンツンとした、顔を隠している男の人を指差すお姉ちゃん。ロボロと呼ばれた男の人はぺこり、とこちらに頭を下げてきて、呼ばれたと思ったのかこちらに寄ってきた。
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作者名：ランドルせ
| 作成日時：2021年2月4日 1時
