【wrwrd】奇跡は使えない (ページ24)

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少し前に私達を大掛かりな奇跡で助けてくれた少女が、目の前でグルッペンに跪かれていて、そして聖櫃はコネシマ王の手に渡り、空から光が溢れた。
伏せて、という声と同時に私はロボロさんに地面に押し倒されたから何が起こったのか目まぐるしく動いていたせいでよくわからないままだったけれど、街に向かってくるザックームの根源もどうやらさっきの光で弱っているようだった。

聖櫃を求めていたのは果たしてなんだったのか、あれだけ必死になって聖櫃を求め、勝手に持っていったのにその聖櫃を私に押し付けてしまうコネシマ王。お姉ちゃんは聖櫃から力を引き出し、最後のチャンスとばかりにザックームに向けて大掛かりな奇跡を放って、そして、失敗した。

ザックームの前には先程まで近くにいたグルッペンさんが穴だらけになった状態でいて、でもその体からは血が出ていなくて。ザックームの根源は半分くらいしか消し飛んでいなくて、無理してたっていたお姉ちゃんは今度こそ気絶した。
何が起きて何が起こっているのか、私だけ蚊帳の外だった。

「……ちゃん、Aちゃん！」

ロボロさんが私を揺さぶってようやく意識を元に戻すことが出来た。気絶したお姉ちゃんを見つめていたせいで、どうやら意識がどこへ飛んでいったらしい。

「早く、西に逃げよう！」
「西……？」
「……コネシマが、国を捨てることを決意したんだ。オプロイテさんは鬱先生にでも任せて、僕達も早く」

ぶつくさ言いながら鬱先生がお姉ちゃんを背負う。そして私はロボロさんに腕を引かれて、西にある橋へと向かった。後ろを振り返れば、私が知らない間に魔物に侵攻されている街があって、何も知らないのは、きっと私だけだった。

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ちょっと読み間違えた部分があって聖櫃を夢主が持って隠れる云々の話を消しました。特に進行上問題はありません。