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「やはり教会勢力は全員銃殺だな」
目の前のコネシマ王がそう呟いて、私たち全員に銃が向けられる。つい昨日まで楽しそうに笑っていたあの人が、冷徹な判断を下そうとしていて、やっぱり私じゃ更生させ切れないんだと思って悲しかった。
もしも私が更生させられていたら、何かが変わっていただろうか。全員が良心を信じて生きていく、そんなお姉ちゃんの願いが叶っただろうか。
ああ、もし私が死んでしまっても鬱先生はお姉ちゃんを守ってくれるかな。
そう思った直後、「そこまでよ！」とお姉ちゃんの声が響いた。
後ろを見ればいつの間にかいなくなっていた鬱先生とお姉ちゃんが立っていて、お姉ちゃんは鎧を着ていた。パッと見た限りだと元気そうに振舞っているが、明らかに顔色が悪い。ああ、また無理をさせてしまった。
お姉ちゃんのハッタリに王国兵達は退き、コネシマ王たちは一時退散した。私達は拘束されていた縄を解かれ、お姉ちゃんは立つのもしんどいとばかりに座り込んだ。当たり前だ。
「……A、隠れなさい」
「……お姉ちゃんは」
「Aちゃん、安心して。私達の魔力を少しずつ分ければ、きっと……」
「違う、お姉ちゃん、一緒に隠れようよ。……ねぇ、お願い」
初めてお姉ちゃんにワガママを言ったかもしれない。お姉ちゃんに迷惑を掛けられないって、ずっとずっと大人になろうと頑張っていたから。
「……ごめんね」
そう言ったお姉ちゃん。わかっていた。わかっていて言ったし断られることも知っていた。お姉ちゃんなら、全ての命を救うために動く。少数が切り捨てられることも見逃さない人だ。血が流れることを、何よりも嫌う人だ。
「…………コネシマ王が昨日まで居た部屋で、隠れてる。あそこなら、きっと誰も来ないから」
「ありがとうA」
聞き分けの良い子どもだと思われたく無かった。でも。
「お姉ちゃんが誰かを助けてるのを見るのが、好きだから良いの」
私がお姉ちゃんに助けられたように。
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作者名：ランドルせ
| 作成日時：2021年2月4日 1時
