【wrwrd】奇跡は使えない (ページ21)

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－鬱先生視点－

てっきりお姉ちゃんの傍を離れるなんて！みたいなことを言って永遠に姉妹でベッタリしていると思っていたのに、泣きそうな顔をしているAちゃんに少し度肝を抜かれた。
他の騎士たちがこちらを驚いたように見ている中、袖を引っ張って、無理やり少し離れたところに連れていかれる。

「えっえっ、まさかAちゃんって攻め側……？」

困惑からかわけのわからないことを言いながらも大人しく連れて行かれる。やぶさかではない。まぁ勿論男としてリードしてやる方が好みではあるが。

「お願いです、お姉ちゃんを守ってください…っ」

だから、そんな言葉を言われて驚いた。オプロイテちゃんなんか守られるようなか弱い乙女みたいなタイプじゃないし、どっちかと言うと守られるのはAちゃんの方で。でも、真剣な顔をして泣きそうな女の子を放置することは心情的にどうかと思った。

「……じゃあ代わりにナニしてくれるん？」

下心ありきでそう言った。穢れをしらないシスターを穢すなんて背徳感塗れではあるが、そういうシチュエーション、男なら一度は想像する。想像しない？いやいやそんなまさか。

「……私が差し出せるものは、なんでも」
「ほんまに？じゃあ俺と付き合ってって言ったら付き合ってくれんの？」
「お姉ちゃんが死なないよう、守ってくれるのなら」

こっくりと頷いたその表情はオプロイテちゃんにそっくりで、目的のためなら俺と付き合うとまで言ったところまで一緒で。ああ、やっぱり姉妹なんだなと感じた。

「よしわかった。契約成立。付き合うって約束忘れんなよ！」

そう宣言した途端。教会の扉が勢い良く開かれ、スパルタクス率いる旧親衛隊が現れた。

「……逃げよ」

教会の騎士と旧親衛隊が問答をしている間に、こっそりと教会を抜け出す。外はいつの間にか内乱状態になっていて、この騒動を抑え込める人間は、たった一人しか思い浮かばなかった。

「無理させたら俺がAちゃんに殺されそう……」

しかし背に腹はかえられないだろう。俺は、オプロイテちゃんが眠っているだろう部屋へと急いで走った。