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「お姉ちゃん！！」
夜明け頃、太陽がうっすらと登り始めた時間に、私はほとんど寝巻きの状態でお城の一室の扉を開ける。そこにはお医者様に診察されているお姉ちゃんが横たわっていて、血の気が引いた。
「Aちゃん。大丈夫、2、3日安静にすれば元気になるよ」
今は眠っているから静かに、なんて言われて私は涙をぐっと堪えてお姉ちゃんの横に置いてあった椅子に座る。お姉ちゃんは眠っているけれどその顔は本当にしんどそうだし、息も荒い。騎士達の顔を見てもわかる。ザックーム討伐は、失敗したんだ。
「えっと、Aちゃん……」
ロボロさんがなにか言おうとして、口を閉じた。私も、それが良いと思う。今何を言われても誰かを責める言葉しか出ないと思うし、そんなことをお姉ちゃんの目の前で言いたくない。
「…………お姉ちゃんを着替えさせるので、全員出ていってください」
そう言えば女性の騎士が何人かだけ残り、それ以外の人間は全員部屋を出ていった。残った騎士の人達も服を着替えさせるのを手伝った後は部屋を出る。横に置かれている聖櫃を見て、叩き割りたくなるのを抑えていれば、ぽろぽろと涙が出てきた。
お姉ちゃんが、死んじゃうわけない。命は粗末にしないって約束したから。でも、もし同じようなことがあったらどうしよう。今度こそ死んじゃうかもしれない。神様、なんで私は奇跡が使えないの？私も奇跡が使えれば、お姉ちゃんの横で一緒に戦えたのに。こうしてお姉ちゃんの帰りを不安に駆られながら待ち続ける必要は無かったのに。
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作者名：ランドルせ
| 作成日時：2021年2月4日 1時
