【wrwrd】奇跡は使えない (ページ15)

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議会により、選挙というものが行われるようになった、らしい。私が教会にいる間、外が騒がしいとは思ったけれど、お姉ちゃんが演説をしていたらしくて、それを聞いた国民や騎士の人達はすごいと口々に絶賛していて、聞けなかったことを少し悔やんだ。

「A」
「枢機卿、どうされました？」
「少しの間一人にしていてくれますか？レーテに行く前に、聖櫃に祈りを捧げるので……。その間、コネシマ王に会いに行くと良いでしょう」

オスマン枢機卿猊下はレーテに協力を仰ぎに行くらしく、しばらくの間教会の責任者をお姉ちゃんと私にしていた。しかし、コネシマ王に会いにいくとは一体どういうことだろう。そう思って首を傾げていれば、いつもの柔和な笑みを浮かべて言った。

「あなたの懺悔室は国民の中でも評判ですから、王に神の教えを説くのにあなた以上の適任はいないでしょう」
「わ、わかりました。いつも通り懺悔を聞いて神の教えを説けば良いのですね？」
「はい。王は道を違えただけです。根気強く続ければきっと……」

人を信じる枢機卿に頷く。早速と言わんばかりに私は教会を後にして、王城へと向かった。私の顔を見るなり兵士たちはコネシマ王のいる部屋へと案内してくれる。目の前の豪華な扉をコンコン、と叩き開けれ、小さな木のような物を切っているコネシマ王の姿がそこにあり、私が入ってきたことに驚いたのか上の方の枝を切り落としてしまっていた。

「あ゛ー！クソ！！なんてタイミングで入ってくんねん！」
「す、すみません。ノックはしたんですけど」

コネシマ王は間違えて切ってしまった木を別のところに移し、椅子に座ればようやくそこで私の顔を見た。

「お前か、教会の代理責任者のAってやつは。あの炎の騎士の妹やって？」
「はい。神の教えを説きにここへ」
「俺全然神様とか信じてへんし懺悔とかも無いんで帰って貰えます？」
「少なくとも一時間は話をしろと猊下に言われていますので」
「めんどくさ…」
「……別に懺悔でなくても構いませんよ。悩みを打ち明けても良いですし、あの時ああしてれば良かったとか、こうしてたらどうなってたか。そう言った話をするのでも構いません」
「そう言われてもなぁ」

私たちはしばらくの間向かい合って座っていたが、コネシマ王がポツリポツリと喋り始める。それは旧科学世界での話だったり、王になってからの話だったり。懺悔でもなんでもない世間話ではあったが、それでも話し始めたと言う事実が大事だった。