【wrwrd!】人形の夢 (ページ9)

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第六幕ページ9

「・・ぐ、ぅ・・何、して・・！」
「聞こえなかったのか、
愚か者、と言ったんだ。
ああ、でもお前には馬鹿、の方がわかりやすかったか？」

控室に敷かれたカーペットに赤い血が滲み、広がっていく。理解できないというような間抜け面であった。顔には痛みからか汗が伝っている。そんな彼を真上から見下ろすとなんだか気分が良かった。思わず笑みが零れてしまいそうだったが何とか耐えた。
すると奥の方からガタリと音がする。俺は彼から視線を奥の方へ、彼女に向けた。

俺達はその姿に、目を奪われた。
歌っている時とはまた違う美しさに、目を奪われたのだ。

「美しい・・」

彼女の瞳が、開いていたのだ。盲目だとそう聞いていたのに。これはやはり異能の力なのだろうか。彼女の瞳は金色であった、黄金に輝く、俺の好きなあの花のように輝く瞳。その瞳がふるふると震え、宝石のような涙がぽろぽろと音もなく零れ落ちていく。その姿に思わず見惚れていると足元に転がっていた彼が声を上げ、「治せっ！早く！」と。何が来るのかと身構えると彼女はすぅと息を吸い、歌を歌い出す。

『～～♪』
「っ？！いたっ！？な、なんやこれ！？」
「どうなってるめう～！？」

部下二人は苦しそうに耳を押さえている俺は自分の能力が特殊な為自分に被害が来ることはないが、

「ふむ」
『っどう、して…』
「な、何故だ！なぜお前には効かない！？」
「残念、私は元々こういう力を持ってましてね」

彼女は俺が苦しまないのを見て歌をやめ、
瞳が閉じられその場に座り込む。足元の男を見ると俺が撃ったはずの銃弾のあとがなくなっている。

「なんちゅー力や…」
「ううー」

へたりと座り込んだ彼女に歩み寄るとビクリとする、手を伸ばし、彼女に触れようとしたその時、後頭部に鉄の塊を押し付けられた。

「触るなぁ！"ソレ"は私のモノだ！！
私が見つけ、育ててやったんだ！！
コイツにどれだけの金をかけたと思っている！
お前も！この男の手を取ってみろ！！
今すぐお前を撃ち抜いてやる！！」

つくづく、馬鹿な男だ。

「ぁ"っ！？ぐぅっああっ！？」
「うちのリーダーに何してるんですかねえ？」

ズドンと床が凹む、いや凹むという次元ではない。
これは潰れるという言葉の方があっているかもしれない。ミシミシと小さく男の体の軋む音も聞こえ、
同時にうめき声も聞こえる。まあトン氏の力はエグいからなぁ。

さてそろそろ終わりにしよう。

飽きてきたし。