【wrwrd!】人形の夢 (ページ10)

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第七幕ページ10

「粛清されて、どうぞ」
「ぐっ、ぅえ、ご、の力…異能かっっっ！」

部屋の真ん中だけボコリと凹んでいる。
そしてその中心で呻く彼はまさに紙切れのようだ。
男の視線の先にいるのは自分の部下、
先ほどまで標的のオペラを観て頬を赤らめ、
照れていた者とは思えないほどその赤の瞳は冷たく、
今にも人ひとりを殺せそうな目だ。

「うちのリーダーに何銃なんか向けとるん？
おかしいやろ、
こうやって僕らに痛めつけられてるのは自業自得やろ？
なあ、今まで何人の子供を売ってきた？
何人の人を痛めつけてきた？
その子でいくら稼いだ？
教えていただけませんかねぇ」

男に徐々に徐々にと圧がかかり、
もう男は言葉を発することさえ出来なくなっていた。
口角は上がっているが目が笑ってない、
ああ、これは完全に堕天モードだ。
後ろに控えているオスマンはやれやれというように
肩をすくめている。

『やめて、やめて…！』

真横を何かが横切る、
自分の目の前に両手を大きく広げ、
彼女は男を庇った。
自分を利用し、欲に目がくらんだ愚か者を。

「…Mrs.A、貴女は良いのか。
この男は欲に負け、貴女を利用し、
化け物、役立たずとも呼んだにも関わらず、
なぜ守る？」
「っ、それ、でも私を育ててくれた…！
私を、必要としてくれました…！」

広げた手は小刻みに震え固く閉じられた瞳からは
また大粒の涙が落ちている。
普通ならここで慈悲の心を持つことが必要なのだが、
生憎、

「やめてと言われて、
やめてやることはできないものでしてね」

こういうことに関して慈悲の心は持っていないのでな。
目配せでトントンに命令するとぐしゃりと音がする、
最後の頭が潰れたのだ。
もうそれは人という原型を留めておらず
紙切れ同然のように潰れていた。

「あ、ぁあ…あ、おと、うさま…」

彼女は潰れてしまった男のそばに
手探りしながら寄り添う。
その姿を見つめているとビリリと何かが変わった気がした。

「ゆ、るせない…ゆるせない…！」

ゆらりと立ち上がる彼女はまとう雰囲気が違う、
そう、まるで別人のように。

「…あははっ！ようやく出れた！
ったくもっと早く出してくれりゃあ良かったのによ！」

黄金の瞳は見開かれ、まるで三白眼のようになり、
口調は荒々しくなった。
先ほどの彼女とは別人ではないか！

「なぁ、アンタら強いんだろ？
毎日窮屈で体が訛ってんだよ。だからさ、」

俺と1曲、踊ってみねぇ？