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小さく頷いた恭弥が僕の肩に顔を埋める。それにしても、なんで僕にお見合いがあるって言ったんだろう？
ボンゴレとの結びつきとかそういうのはちょっと説得力があって騙されかけたけど。どちらかといえば、恭弥とお見合いがあって、自分のファミリーとボンゴレとの結束を高めるためって言われた方が納得できるんだよね。僕ほど不安定なものもないし。
う〜ん……まあ、恭弥って言われなかっただけマシかな？
たっぷり抱きしめ合ってそろそろ帰ろうかと言ったとき、窓がノックされる。囁くような声でジェンマです、と聞こえてきて、恭弥と顔を見合わせた。
渋々頷いた恭弥は入れば、なんてつっけんどんに返す。抱きしめられたままなんだけど……まあ、いっか。
「失礼しま、って失礼しました！！」
僕たちを見て慌ててバルコニーから退散しようとするジェンマさん。大丈夫だよって制止をかければ、ぎこちなく振り向いて視線をあちこちに彷徨わせていた。
「何か用？」
「っ、あの、この度は大変申し訳ありませんでした」
ジェンマさんは深々と腰を折って謝る。言い訳のように続いた言葉を要約すると、どうも2人の間には力関係があるそうで、ジェンマさんはアデリーナさんに逆らえないんだって。
今回の件に関しては、アデリーナさんが僕をほしいと言ったのが始まりらしい。男同士の恋愛なんて長続きしないと笑っていたアデリーナさんは、ひとまず僕と偽装夫婦のような関係を築き、ゆくゆく落とすのだと豪語した挙句、あんな結果になったとのこと。
「その、アデリーナさんは自立しているし、美人なので、事情を知らない一般人に言い寄られることも多く……それで、今回もあのような暴挙に……」
もそもそと話し続けていたジェンマさんはすっかり萎れていて、どうしようかなと考えあぐねていれば、恭弥はどうでもいいと一蹴した。
「もう終わったことだよ。用件はそれだけ？」
「え、はい、謝罪だけでも、と……」
「もういい」
出ていけと言わんばかりに睨みつけられて、ジェンマさんはすごすごとバルコニーから立ち去る。帰ろっかって恭弥に言うと、眉間に皺を寄せたまま。
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作者名：怜
| 作成日時：2023年9月2日 16時
