まだ先の約束 ページ4
平日のお昼過ぎに温かいコーヒーを飲みながら、窓の外を見る。普段なら風紀委員の仕事に追われてたりするんだけど、今日は閑古鳥が鳴くほど暇だ。
書類はないし、見回りは他の風紀委員がやってくれてる。恭弥はディーノさんと遊びに行っちゃった。つまり、今の僕はとても暇なのだ。
帰っちゃおうかなぁとまたぼんやり窓の外を眺める。そうしていると、スタッと窓際に影が降りた。黒いボルサリーノを軽く上げて、リボーンが窓をこんこんと叩く。
のっそり窓に近付いて鍵を開けると、リボーンは遠慮なく応接室に入ってきた。
「暇そーだな」
「うん。すごーくヒマ」
振り向いてソファーまで歩くと、そのまま倒れ込む。顔を上げて用件を尋ねれば、特にないらしい。コーヒーが飲みたいなら自分で淹れて、とだけ言ってまたソファーに顔を埋めた。
「ヒバリとはどーだ？」
「っ……なに、急に」
「随分と仲が良さそうじゃねぇか」
とんとんとリボーンが自分の首元を叩く。バッと起き上がって首を隠した。
先日恭弥につけられたキスマークはまだ薄く残っている。リボーンに見られたんだ。う〜〜、と体育座りで顔を隠す。くっと笑う気配がして、さらに項垂れた。
「ところで、A。ファミリーにならねぇか？」
「またそれ？沢田綱吉が僕に勝ったらって何度も言ったじゃん」
「今んとこ見込みがねぇからな」
僕も負けてやる気はないからね。まあ、挑戦くらいならいつでも受け付けるけど。沢田綱吉も最近強くなってきたし、遊び相手としては問題なく務まりそうだ。
ん〜、ちょっと遊びたくなってきたね。相手を探しに行こうかな。その辺に誰かいればいいんだけど。一番良いのは……。
顔を上げてリボーンを見る。すると、リボーンは呆けて知らんふりをした。残念、と呟く。まあ、いっか。他にも相手はいるんだから。いつか遊んでよね。
「ま、お前がヒバリと結婚したら自動的にファミリーの仲間入りだな」
「は、はあっ！？何言ってるの！？」
せっかく芽生えた闘争心が挫かれた。じわっと頰が熱くなって頭の中で『結婚』という言葉がループする。
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作者名：怜
| 作成日時：2023年9月2日 16時
