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「えと、じゃあ、就職はしない」
「進学はするの？」
「だって、中卒で恭弥の隣にいるの恥ずかしいんだもん……」
これは僕のワガママなのかもしれない。だけど、人間社会では学歴が特に必要な時もある。恭弥の隣にいるためにも必要なことだと思うから。
不満そうな恭弥。そんなこと気にしてないって言って額を擦り合わせられると、決意が溶かされそうな気がして、ぐいぐいと胸を押す。
「はぁ……分かったよ」
僕の上から退けて恭弥はまたため息をついた。体を起こしてありがとうと擦り寄ると、恭弥はぎゅうと抱きしめてくれる。
「親を説得する上で必要なことだと思っておくよ」
「ん、そうして」
「まあ、了承は得ているんだけど」
びっくりして体を離す。恭弥を見つめれば、なんてことないような顔をしていた。いつの間にって聞けば、リボーンに揶揄われたその日に言っていたらしい。
結構前だね！？行動力すごすぎない？確かにするつもりでいるって言ってたけど、もうちょっと先だと思ってた。
「そのうち僕の両親に会ってもらわないと」
「ほんとに大丈夫なの？」
「引退した人にとやかく言う権利はないからね」
「完全に説得したわけじゃないんだ？」
じゃあ、僕ももっと精進しないと。ちゃんと認めてもらいたいもんね。
「君も親に……そもそも君の親っているの？」
「……いない、かな」
「そう。それなら僕の親を説得するだけで済むね」
敢えて聞かない優しさも愛おしくて、恭弥の首筋に額を寄せる。
たぶん、僕の親はダメだって言うと思う。あの人たちは僕が幸せになるのが嫌いだから。だけど、今はいないんだから、気にする必要はない。
それに、エンティティさまは許可してくれたから。あと数十年は恭弥と。
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作者名：怜
| 作成日時：2023年9月2日 16時
