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「聞こえるかエンマ！！オレがいる！！ここにいるぞ！！」
瓦礫に潰されながらも沢田綱吉が叫ぶ。不意に古里炎真の瞳に光が宿った。
「……そんな、ツナ君……僕は……」
「エンマ！！正気に戻ったんだな！！」
「ぼ……僕は……」
「もういいんだ。助けにきた」
はくりと古里炎真の唇が震える。泣きたそうな表情で、裏切らなかったんだと呟いた。だけど、古里炎真の炎は収束しそうにない。
「もう僕は自分の力を制御できない」
悲しそうな古里炎真の体の中心から急速に炎が膨れ上がって、ブラックホールが形成されていく。強い引力が沢田綱吉を吸い込もうとしていた。
逃げろと精一杯叫んだ古里炎真。だけど、沢田綱吉は退こうとしなかった。
あのブラックホールを消すとなると、かなりの炎が必要となる。それをどうやって打ち出すかが鍵になると思うんだ。きっと、炎の量は足りるはず。それを安定して打てるのかってだけ。だけど。
「オペレーション、
なんだ、彼はすでに正解を知っているんだね。じゃあ、もう興味ない。僕が見ていなくても、どうせ終わりを迎える。僕が関わらなくても、未来は変わらない。
どうしようもない無力感だった。僕がいても、いなくても、未来は変わらない。手を出そうと出すまいと、あるべき筋書きを通っているような、寂寥感だった。
結局僕は異世界の住人だと知らしめるように、疎外感ばかりが積もっていく。
それもそうだ。僕はエンティティさまのためだけに生きているのだから。この世界がどうなろうと、エンティティさまの命令に従うだけの存在だ。きっと、この世界で為すべきことなんてない。復讐者の炎でさえ、オーバーブロットの代わりでしかない。
奥歯を噛み締めながら、炎を噴射する沢田綱吉を眺めていた。キラキラとした主人公のオーラを放つ、沢田綱吉を。
ああ、さびしい。もっと、必要とされたい。僕がいないとダメだって、そう乞われたい。
そんな思いを心の奥底に押し込める。こんなことを思うから、僕は間違えるんだ。捨てなきゃ。これ以上大きくなる前に鍵をかけて、できることならゴミ箱に。
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作者名：怜
| 作成日時：2023年2月20日 23時
