シモンのアジト来る！ ページ15
「ん〜、呼び出し、かな」
「どうしたの」
「リボーンからどこにいるんだってメールがきてたんです」
ため息混じりの言葉にヒバリは縁側の方を見た。戦う前は傾きかけていた日が、1日経ってさらに沈もうとしている。もうすぐ夜が来るのだ。
「明日行けばいいんじゃないの」
「……そうですね。そうします」
同じように外を見たAが頷いた。スーツはクリーニングして返すというAに、ヒバリがそのままでいいと言い、また一悶着が起こったのは蛇足だ。
＊＊＊
side：A
＊＊＊
翌日になって普段通り学ランを着たところで、動きを止めた。リボーンのところに行くから、学校には行かないんだけど。習慣って怖いよねぇ。
今更着替え直すのも面倒で、そのまま霧を呼び出す。地図を開いて盗み聞きしたアジトの座標に印をつけた。海のど真ん中なんだけど、本当にアジトがあるのかな？まあ、それは行ってみてのお楽しみだね。
霧の道を歩くこと、数分。いつも思うんだけど、数分で距離関係なく移動できるのは便利すぎるよね。呼び出されたときとか、ものの数分で行けちゃうし。
霧の道が明るくなって砂浜に足をつける。目の前には森、後ろには海。うん、海に浮かぶ孤島って感じがする。こんなところにアジトを構えてたんだね。
『死を呼ぶ追跡者』を装備して、リボーンの気配をオーラに変換する。随分と奥まった場所に見えたオーラを目印に歩き出そうとすれば、目の前に黒い炎が現れた。
「久しぶりだね、復讐者」
「ここにお前が何の用だ」
「リボーンに呼ばれたからだよ」
用事なんてそれくらいだもん。呼ばれなきゃこんな辺鄙なとこに来ないし。
「それより、君たちこそ何の用なの？ここに君たちの目的はないと思うけど」
「掟が発動されたのだ。我々には行方を見守る義務がある」
「へえ。面倒だねぇ」
マフィアを取り締まる番人っていうのも大変そうだ。好きでもない人のためにこんなところまで顔を出して行く末を見守るハメになるんだから。ああ、僕はエンティティさまに仕えられてよかった。
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作者名：怜
| 作成日時：2023年2月20日 23時
