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納得したように頷くAが装置の外にいることに入江は気付き、絶句しかける。なんでと繰り返す入江に首を傾げたAがどうでも良さそうに口を開いた。
「もう少し硬くしたほうがいいんじゃない？」
「バカを言うな！！これ以上の技術はないよ！」
「人類の進歩もたかが知れてるね」
話は終わったとAは目を逸らす。既に傷一つ見当たらない腕に入江は現実逃避をしかけるも、自分の役割を思い出したのか、ツナに向き直った。リボーンが援護してくれたため、入江は話を続ける。
本当の敵は白蘭だと言い、青褪めながら白蘭の目的を話し始めた。自分の思い通りにならないもの全てを抹殺するだろう、と。
「今、この時代に倒すしか白蘭サンの能力を封じる手はない！！」
「能力！？」
「説明すると長くなるが……ん？あっ、忘れてた！！」
Aは話に興味がなくなったのか、その場に座り込む。それから静かに思考を回し始めた。ヒバードが繰り返していた言葉と10年後のヒバリが言っていた別件の話を結びつけて現状を導いたのか、Aは深いため息をつく。
10年後のAはこの計画を成功させるために、10年前のツナたちを成長させるために、Aを動けない状況を作るために、エンティティに頼んでいたという結論に辿り着いたAは、眩暈がしそうだった。そこまで彼らに入れ込んでいたのかと信じられない気持ちを持て余し、10年後の自分が違う生き物だと見切りをつける。
そんなAにヒバリは歩み寄った。気配は感じ取っているはずなのに視線すら寄越さないAに、ヒバリは眉を寄せる。Aの隣に座りじっと見つめるも、Aはヒバリの方を一切見なかった。
静かに我慢比べが始まろうとしていたが、良くも悪くも我慢を知らないヒバリがAの腕を掴んで小さく呼びかける。そこでようやくAの目がヒバリに向いた。流石に呼ばれると無視はできなかったのだろう、気まずそうにしながらAの目が彷徨う。赤い瞳がヒバリのことを真っ直ぐに見ないのだ。
いつもなら凛と見つめ返してくる瞳は揺らぎ、逃げ出したいという感情が読み取れる。小さく息を呑んだヒバリは自分の中でさまざまな感情が膨らんでは萎んでいくのを感じていた。
怒り、悲しみ、それでも愛しいと思うのだ。ヒバリはAのことを手放すつもりはない。
「ヒバリさん、」
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作者名：怜
| 作成日時：2022年10月24日 23時
