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Aが眠りについたあと、時は流れるままに消化されていく。
10年後のヒバリが幻騎士と戦い、10年前のヒバリと入れ替わったこと。10年前のヒバリが炎を灯し、匣兵器に注入したあと、その大きすぎる炎に消化不良のハリネズミが召喚されたことや、そのハリネズミが主人を刺したことで暴走が起こったこと。その暴走から逃れた先に罠があり、嵌められたこと。
その後ツナが幻騎士と戦い、幻騎士を退けたこと。
筋書き通りの未来を確定させていき、とうとうツナは入江正一が待つ白く丸い装置の前に辿り着いた。入江と相対したツナはそのグローブに灯した炎を大きくさせる。
「まずは拳を下ろしてもらおう。話はそれからだ」
「……話だと？」
「聞こえなかったのか？ヘタに動けば、彼らは死ぬぞ」
入江の視線が向いた先はカプセル状の装置に入れられた守護者たちがいた。睡眠ガスで眠らせているのだと言う入江に、ツナは表情を険しくさせる。
その中にAがいたことに気付いたのか、信じられないと首を振った。Aの強さは折り紙付きだ。彼が眠る経緯を知らなければ、信じられないのも無理はない。
入江がチェルベッロに合図をして、装置の中に気付け薬を投与する。いち早く目覚めた獄寺たちはその中から状況を把握したのか、ツナに向かって装置越しに叫んだ。Aはそれでも目覚めないまま、腕を有刺鉄線でまとめられ、絶えず血を流している。
そんなAに気付いたのか、ヒバリは表情を変えてそばに寄った。手首を貫通する鉄に歯噛みをし、外そうと努力するものの、それが外れる様子はなく、ヒバリの手に傷がつく。
「抵抗しようとしてもムダさ。お前たちのリングと匣兵器は……全て没収した」
入江の手の中にあるリングと匣兵器。この状況から勝ち筋は見えるはずもない。それでもラル・ミルチは装置を破壊しろと叫ぶ。獄寺が続けて破壊するように言うも、クロームはダメだと小さく声を上げた。
「全くお前達の無知ぶりにはあきれるばかりだ。この装置を破壊すれば困るのはお前達だぞ」
「何！？」
装置から煙が上がり、真ん中から開いていく。その中の人影が徐々に見えていった。
「この装置に入っているのは10年後バズーカでお前達と入れ替わりで消えた……この時代のお前達だ」
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作者名：怜
| 作成日時：2022年10月24日 23時
