【REBORN!】エンティティさまが僕を消すまで -4-【DBD】 (ページ27)

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それから1年経って、マティアは退屈していた。悪行の限りを尽くされた小さな村はこれ以上耐えられなかった。日に日に死んでいく村人。両親は口うるさくなってから処刑を行ったため、マティアのそばにいる者は誰もいない。
前回の“神の使徒”がいるときには5000人ほどいた人口も、今では500人もいない。残ったのは若い村人ばかりで、反逆を企てている。

身の危険を感じたマティアは村を捨てるため、そして外でもエンティティの庇護があるのかを実験するため、一度村を飛び出したことがある。皮肉にもそれは厄災が起こる直前のことだった。

大きな都市で遊ぶことは小さな村で生まれ育った少女には刺激的で、時間を忘れてあちこちを歩き回った。夜が訪れたときにはもう遅く、小さな村へ行くためのバスも電車もない。
それでもマティアが寂しげに笑えば、ホテルまで案内し支払いを済ませてくれるジェントルマンがいたため、苦労はしなかった。

そうして村に帰った翌日、マティアは絶句した。ちろちろと燃える炎が民家の一切れまで食らい尽くそうとし、肉が焦げた悪臭が漂っていた。殺し合いでもしていたのか、人体と思しきものに自分の武器を刺し、背後から包丁に貫かれた状態で絶命している村人もいる。
一言で表すのなら、阿鼻叫喚の地獄だった。

吐き気を催した。眩暈が、耳鳴りがした。もし自分があのまま村に残っていたとしたら。想像しただけで心臓の鼓動は大きく響き、これ以上惨状を視界に入れないためにも、マティアは再び村を飛び出した。

遊び回ったときに見えた都市はきらびやかに光って見えたというのに、瞼の裏にあの光景がちらついて、気を抜けば発狂してしまいそうになる。
そんな精神状態で3日ほど過ごしていたマティアは、自分がネガティブな部分にだけ目を向けていたことに気付いた。

──そうよ。エンティティは私を見捨てられない。

──あの日無計画にも飛び出したのはエンティティからのお告げなんだわ。

──あの惨状に私が巻き込まれないように。

──そうよ……そうだわ！