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慌てたように手を下ろして、ザンザスはチェルベッロを見ないままこう告げる。
「この一部始終を忘れんな。オレは攻撃をしてねえとな」
次の瞬間ヒバリさんの太ももを掠めるレーザー。血が噴き出して、ヒバリさんは膝をついた。と、こっちも呑気に見ている場合ではなくて。
飛んできたミサイルを手斧で撃ち落とす。空中で爆破したミサイルから黒煙が降りてきた。
「……なんてこった。オレは回収しようとしたが、向こうの雲の守護者に阻まれたため、モスカの制御がきかなくなっちまった」
「なに！？暴走だと！！？」
無差別に攻撃を始めるゴーラ・モスカ。嫌な予感はこのことだったのかと納得して、ゴーラ・モスカの動きを冷静に見る。こちらに届きそうな攻撃は防いで、硝煙で視界が悪くなった。
「ぶはーはっは！！こいつは大惨事だな！！！」
「あいつ……笑ってやがる」
「あの野郎、はなっから勝負に関係なく事故をよそおって皆殺しにする気だったんだな！！だからヒバリを挑発したんだ！！」
煙の向こう側で人影が見えて、目を凝らす。あいつと似たような髪型にクロームかと見当をつけたけど、壊れかけの有刺鉄線がすぐそばに見えて息を呑んだ。ばか！フィールド内は危ないのに！
すぐさま助けに入ろうとして、クロームの元に走って向かう2人が見えたから、結局のんびりと歩いていくことにする。2人とも口ではあんなことを言いつつ、助けちゃうんだよね。それが六道骸の命令だからかもしれないけど。
地雷から既の所で逃れた3人に、砲台が標的を合わせた。煙の向こうからゴーラ・モスカも見えて、3人は頭を庇うように伏せる。そんなに心配しなくても大丈夫。砲台は僕がなんとかするよ。
それと、ゴーラ・モスカだけどね。
手斧で砲台を壊したあと、大きな炎の壁がゴーラ・モスカの圧縮粒子砲を防ぐ。惚れ惚れするほど綺麗な橙の炎は、沢田綱吉のものだ。
「全く君たちは世話が焼けるね」
「A、」
「ここはあれに任せて、フィールドから出るよ。ほら、立ち上がって」
手を差し述べて3人を立ち上がらせる。沢田綱吉はゴーラ・モスカの腕を捥いでいた。呆然と眺めているクロームたちを急かしてフィールドから出す。
ゴーラ・モスカの標的は沢田綱吉に移ったみたいで、もうこちら側には一切の攻撃はなかった。
もう大丈夫だと思うけど、ふとザンザスの様子が気になって目を向ける。薄く笑みを浮かべたまま、ザンザスは沢田綱吉を見ていた。
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作者名：怜
| 作成日時：2022年10月11日 19時
