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「や……やったわ！！」
「これで並盛に帰れそーだな」
「……いや、まだだよ」
煙が収まって、瓦礫の中から立ち上がる人影。
「貴様になら全力を出せそうだ。全力でいくぞ」
疲弊しているように見える沢田綱吉とは大違いだ。あんまりダメージがあるとは思えないな。ああ、良いな。浮かんだ笑みを隠すように、口元に手を当てる。僕も遊びたい。こんな平和な日常なんてつまらない。ただ刺激的なものを。
高く放られる鋼球。そのうちに距離を詰められた。でも、沢田綱吉は鋼球を見上げていて気付いていない。
「オレが真に得意としているのは、肉弾戦」
「うがっ！！」
「ハッタリじゃねーぞ」
腹部に入った蹴り。追い討ちをかけるように沢田綱吉の頭を掴んで顔面に膝を入れた。さらに追撃が入り、沢田綱吉は地面に叩きつけられる。
「フィニッシュだ」
放られていた鋼球が落下する。その落下地点には沢田綱吉が。めり込んだ鋼球が痛々しい音を立てた。
「貴様等の希望はついえた。次は誰だ……？」
いや、僕にとっては希望なんかじゃないけど。まあ、それは空気を読んで言わないとして。だとしても、まだ倒れてないんだよね、沢田綱吉は。
「なに！！！バカな……こいつは化け物か……？」
「あんたはそんな悪い人じゃない」
「貴様……何を言っている！」
「そんな弱い心では死ぬ気のオレは倒せない」
動揺したそいつはそれを隠すように肉薄する。殺しは本心だって。嘘も大概にした方がいいよ。言い聞かせてるようにしか聞こえないもん。結局あの人もつまらない人だ。甘いんだもん。
沢田綱吉の拳が入って、血反吐を吐く。膝をついたその人は信じられないと言いたげだった。
「攻撃する時必ず目を閉じるのも、鋼球を使わなくてはとどめをさせないのも、あなたの心の中に罪悪感……迷いがあるからだ」
「な！」
「あなたを最初見た時からおかしいと思ったんだ。まるでうちにいる子供みたいにあったかくて怖い感じがしなかったから」
膝をついたまま、その人は完敗だと言う。六道骸が警戒するのも頷けるってさ。
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作者名：怜
| 作成日時：2022年9月25日 23時
