魔力よりタバコをくれ十六本目【ツイステ】 (ページ38)

今日:2 hit、昨日:35 hit、合計:40,379 hit

＊＊＊ページ38

スタッフに話を聞けば、奥のドアにはグリムが入っていたらしい。でも、グリムは強いわけじゃない。俺みたいに魔力が無限にあるわけでもないし。どうしてあのドアを吹き飛ばせたんだ？

「でも、魔法に関するテスト結果はどれも並の魔法士以下。被検体Aの言う通り、あのドアを破るほどのパワーは一度も計測されていない」

「チーフ、待ってください。たしか被検体Fには、1点だけ特記事項があったはず……ありました、これです。被検体Fは、何度テストしてもブロット蓄積値が正確に計測できない状態だったんです」

「どういうこと？」

ブロット蓄積値が正常に計測できない？つまり、ブロットが溜まっていない状態でも溜まってるって計測されて、溜まっている状態でも溜まっていないっていう計測結果が出るってことか？
大問題だろう。ここの最先端技術でもそうなるのなら、グリムは自分のブロット蓄積量に人一倍気を使っていかなきゃいけない。ちょっとしたことがオーバーブロットにつながる可能性がある。

「精密検査をしても原因は特定に至りませんでした。解析班によれば、古代魔術が何重にも重ねがけさていると……。魔術効果の特定には至りませんでしたが、条件付けされた状況下でのみ発動する呪い、あるいは祝福の可能性が高いとのことでした」

呪いも祝福も、ほぼほぼ同意義だ。術者が込める感情と効果によって使い分けされている。ただ、古代魔術……今は使える者が限られている代物だ。そんなものがなんでグリムに……？

「はっ！！『タルタロス』内部の通過センサーに、被検体Fのウェアラブルデバイスの通過ログがあります！どうやって……そうか！『ケルベロス』のセキュリティがオフになり、以降『タルタロス』への出入りが自由になっているから……ログによれば、緊急事態発生直後に『タルタロス』の門をくぐったようです」

タルタロスに？なんでわざわざ問題の発生源に向かってるんだ？まあ、どうせ通る道だからな。ちょうどいいってことにしておこう。