【ツイステ】エンティティさまの御心のままに-9-【DBD】 (ページ45)

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それからメインボーカルが発表されて、ジャミル先輩は少し嬉しそうだった。

「あの、僕は……ちょっと自信がない、です。別の人のほうが……いいんじゃない、かな」

「アンタに拒否権はないわ。入学してすぐ、アタシと交わした約束を忘れたの？アンタにはアイツを仕留める“毒林檎”になってもらわないと困るのよ」

「…………はい。わかりました」

交わした約束……アイツを仕留める“毒林檎”……。やっぱり訳ありっぽいね。まあ、僕には一切関係ないけど。そういうのって当人たちだけのやり取りだから、部外者が介入していいものじゃないんだよね。

ねえ、ユウくんと話を振れば、微妙な顔をされた。

「Aくん。それ、オクタヴィネルの考えだよ」

「……エッ」

「しっかり毒されてるね」

呆れたように言われれば、何も言えなくなって口を噤む。そうかな？そうなのかな？自分じゃよく分からないけど、ユウくんが言うならそうなのかも。

むむ、と考え込んでいると、本格的にレッスンを開始すると声がかかった。まずは軽くフリを合わせてみて、とヴィルさんが言ってその動きを眺める。かっこい〜と呟けば、グリムに肘をつつかれた。

「そんなこと言ってると、フロイドが怒るんだゾ」

「先輩が……？」

「求愛中に他のやつ褒めてたら怒るのは当たり前なんだゾ。オレ様は優しいからな。子分が叱られねーように注意してやる」

どうだ、と言わんばかりにグリムは胸を張る。目を泳がせていると、グリムは不思議そうな顔をした。

「Aはフロイドが嫌いなのか？」

「き、嫌いじゃないよ？」

「じゃあ、好きなんだゾ！」

閃いたって言わんばかりに目を輝かせるグリム。腕を組んでうんうんと頷くと、にゃははと笑った。

「アイツならオレ様の子分を任せてやってもいいんだゾ！」

「ぐ、グリム？まだそうと決まったわけじゃ……」

「ふなっ！？なんでなんだゾ！？やっぱり嫌いなんだゾ！？」

そういうわけじゃないんだけど……。でも、僕はエンティティさまのしもべだから。そういうのは辛いだけだよ。

なんて、誰にも言わないけどね。