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そうして迎えたオーディション。ポムフィオーレ寮の談話室に通された僕たちは辺りを見渡していた。こんなにオーディションを受ける人がいるとは思わなかったな。確かに体育館でも練習してる人をたくさん見てきたけど、ここまで多くなかった気がするし。


「き、き、緊張して、お、覚えた歌詞をわ、わ、忘れそうなんだが!?」

「いや、お前アガりすぎでしょ」


動きがぎこちないデュースくんを笑っていれば、後ろから声をかけられた。


「あれ〜?エーデュースコンビにオンボロ寮トリオ。みんなも『VDC』のオーディション受けにきたの?」

「ケイト!オメーもなんだゾ?」

「うん。せっかくウチの学校で『VDC』が開かれるし。今年はヴィルくんも出るらしいからさ。マジカメフォロワー数500万人超えのセレブと一緒に大会に出れたら、記念になりそーじゃん?」

「デュースは気負いすぎだけど、先輩は先輩で気楽な理由すぎ……」


先輩らしいね。デュースくんと足して割ったらいい感じになるんじゃないかな?

見てみなよ、と促されてケイト先輩が指差す方を見る。そこにはラギーさんがいた。なるほど、ラギーさんは賞金目当てだね。
分かりやすいな、と頷いていたら、目の前に逆さのリリア先輩が現れる。悲鳴を上げたエースくんたち。


「くふふ。良き反応じゃ。ハーツラビュル寮生はいつも元気じゃな」

「も〜、リリアちゃん。それびっくりするからやめてよ〜」

「あなたはホリデーカードを届けてくれた……」

「くふふ……いかにも。神出鬼没のお届け人こと、リリア・ヴァンルージュじゃ」


こんにちは、と挨拶すれば、リリア先輩は僕を見上げてぷくぅと頬を膨らませる。ええ、なんで?どうしてそんな反応するの?


「わしはお主が頼ってくれるのを楽しみに待っておったのに」

「え、っと……そう言われても、ですね……」

「む、わしが頼りないというのか?」


違います、と慌てて首を振った。そんな僕を笑って、リリア先輩はスマホを取り出す。僕も出すように言われて、ポケットから取り出した。


「わしの連絡先を教えよう」

「あ、ありがとうございます……?」

「いつでもメッセージを送ってくるんじゃぞ」

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作者名: | 作成日時:2022年1月5日 23時

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