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妙な既視感から凝視していると、ルーク先輩は僕にウィンクする。ううん、やっぱり知ってるような……?ジロジロと見る僕を気にすることなく、ルーク先輩はラギーさんのあだ名の話をした。
「それ以来、道端のタンポポすらも命の糧としている彼に敬意を評して『ムシュー・タンポポ』と呼んでいるんだ」
「ラギー先輩、タンポポ食ってたの!?つかそれ、敬意じゃなくね!?」
「アイツ、本当に腐ってなきゃなんでもいいのか。まさか俺にも食わせてねぇだろうな……?」
「ノンノン、毒じゃないんだ。好き嫌いはよくないよ、
好き嫌いって問題じゃないような気がするけど。まあ、そんなことはどうでもよくて、オーディションの申し込みしなくていいの?
「……はっ!ルーク先輩のペースに流されてたけど、そんなことよりオーディションの話!」
「そうだった!ハント先輩、僕たち『VDC』のオーディションに申し込みをしたいんですが」
「おっと失礼。話が脱線するのは私の悪いクセだ。キミたちは、ハーツラビュル所属1ーA25番ヒト属の全長172cmエース・トラッポラくんと……同じく1ーA24番、ヒト属173cmのデュース・スペードくん。そしてオンボロ所属のヒト属ユウくんと、ヒト属168cmのAくん、体長約70cmの魔物・グリムくんだね」
つらつらと淀みなく、クラスや出席番号、身長までも言い当てられて寒気がした。狩人として当然だと言うルーク先輩は、低い声でいざという時に困ると目を細める。その目の鋭さでハッと思い出した。
この人だ。僕を遠くから観察していた、あの目。あの目の正体はルーク先輩だったんだ。
「意思表明さえしてくれれば、特に申し込み書類などは必要ないよ。3日後の放課後、ポムフィオーレのボールルームでオーディションを行う。忘れずに来てくれたまえ」
「はーい」
「おい、いつまで俺の席の周りでウロチョロする気だ。さっさと散れ」
「そうだ、レオナくん!キミも『VDC』のオーディションに出場してみないかい?身体能力は申しぶんなし。キミの体格ならきっとダンスも映えるはずさ。よく響く声も素晴らしい」
断ると言ったレオナさんにも耳を貸さないルーク先輩。ある意味勇者だね。
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作者名:怜 | 作成日時:2022年1月5日 23時